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スポーツと地域活性化 コロナ禍を経て見直される社会的価値

日本スポーツ産業の過去と未来 アフターコロナを見据えて(第2回)
野沢亮太(株式会社日本政策投資銀行 地域調査部 調査役)

アフターコロナのスポーツ観戦はどうなるか

 また足下のコロナ禍において大きく停滞してしまっているスタジアム・アリーナでのスポーツ観戦自体については、アフターコロナ時代にはコロナ影響前よりも関心が高まる可能性があることにも触れておきたい。

 これは日本政策投資銀行2021年3月中旬に行った、コロナ感染拡大以前・以後のスタジアム・アリーナ観戦の有無と感染終息後の意向についてのアンケート結果である(インターネットアンケート、n=4,000、20~60代まで年代で層化抽出)。

 このアンケート結果では、日本の主なプロスポーツリーグであるNPB(野球)、Jリーグ(サッカー)、Bリーグ(バスケットボール)のいずれも、コロナ感染拡大以後の20年3月以降にスタジアム・アリーナで観戦したという回答数(実施率)は、コロナ感染拡大以前の19年3月から20年2月に比べて、もちろん大きく減少している。だが、感染終息後にスタジアム・アリーナで観戦したいという回答数(実施意向率)は感染拡大以前の回答数(実施率)を上回る結果となった。

 コロナ禍で、大会や試合の開催中止や延期、スポーツイベントの収容人数制限などにより、人々のスポーツを観ることに対しての関心が薄れてしまうことやオンライン観戦の普及でスタジアム・アリーナで観戦したいという需要が小さくなってしまうことも危惧されていた。

 しかし、コロナ禍により多くの分野でリアルでの交流や体験が大きく制限され、オンラインでの交流や体験の機会が多くなったことが、かえってスポーツの感動・興奮・熱狂空間との一体感を味わえるリアルの価値がより人々に求められる契機となり、スタジアム・アリーナでの観戦は、アフターコロナにおいてもさらに人々を惹きつけるコンテンツになり得るだろう。そして、スタジアム・アリーナはその域外から人を集める空間として、「街なか」の賑わい創出、交流人口の拡大などによって、地域経済を活性化させる経済的な機能も再び発揮していくことが期待される。

 次回は、スマート・ベニューの先進事例における新たな官民連携とエリアマネジメントによる地域活性化、そして、コロナ禍を契機として広がるオンラインコンテンツとスポーツの可能性について述べていくこととしたい。

野沢亮太(株式会社日本政策投資銀行 地域調査部 調査役)
〔のざわりょうた〕
1991年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。2020年4月より日本政策投資銀行地域企画部(現 地域調査部)にて、スポーツを核としたまちづくりやスポーツ産業経済規模推計等の企画・調査を担当。
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