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王子・赤羽は元気も、新駅と地形に繁栄を左右された北区。賑わいのある場所が日暮里などに限られる荒川区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第9回
牧野知弘

使い勝手の良い町屋、商業施設が整っている日暮里

荒川区に住むならおすすめは町屋でしょうか。

町屋は千代田線、京成本線と都電荒川線が交わっているため交通の利便性はとても良いです。特に千代田線と繋がることで大手町や霞ケ関、表参道方面へのアクセスが良いので使い勝手が良いでしょう。

商店街も充実しており物価が安く、下町情緒も残っています。また隅田川沿いまで行けば荒川自然公園があり、緑も豊かです。

都電荒川線の町屋駅前停留場(写真提供:Photo AC)

日暮里も、鶯谷方面に行くとラブホテルが多くなり、住環境としてはおすすめしにくいので、東日暮里あたりを選んだほうがいいかもしれません。

商業施設が整っている日暮里は、山手線を使えば上野、秋葉原、東京方面へのアクセスも極めて良く、京成本線のスカイライナーを使えば成田空港へわずか36分で到着できます。

日暮里から北には日暮里・舎人ライナーという新交通システムが2008年から運行され、足立区方面に住む人の通勤の足になっています。

駅の反対側に向かうと台東区になりますが、こちらでは谷中霊園の緑を楽しむことができます。山手線沿線で交通利便性が悪くなく、商店が充実していて生活するのに困らない駅として、実は日暮里はかなり理想的と言えます。

また全国屈指の進学校、開成学園は西日暮里駅近くの高台にあります。

あまり特徴が見当たらない三河島、尾久

同じJRでも常磐線の三河島、もしくは宇都宮・高崎線の尾久などはあまり特徴が見当たりません。

どちらの駅も上野まで繋がっていて、そこから上野東京ラインを使えば品川駅までアクセスできるのですが、さほど人気がありません。

三河島は駅前から町工場が多く商業店舗もあまりないため、日暮里と北千住の間に埋没したような状況になっているのが、その原因かもしれません。

尾久の駅自体は北区にありながら、住民は北側の荒川区方面に多く住んでいます。ここは駅の南側一帯が操車場になっているため、人の流れが分断されています。また明治通りに面している北口も商店が少なく、活気が感じられません。

尾久駅(写真提供:Photo AC)

加えて、この駅も発展著しい赤羽と上野の間にあって、やはり埋没している感が強いです。そうした事情を鑑みるに、荒川区で住まいを探すなら日暮里、町屋の二択に絞られる印象があります。

牧野知弘
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『街間格差』『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『こんな街に「家」を買ってはいけない』『2040年全ビジネスモデル消滅』など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
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