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江戸文化を支えたかつての賑わいを取り戻したい墨田区、川が分割した三つのエリアそれぞれ個性をみせる葛飾区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第11回
牧野知弘

活気や核が欲しい堀切・奥戸

南側では新小岩が市街地再開発で盛り上がっています。JR新小岩駅南口のエリア1.5haを再開発するもので、全体敷地を2街区に分け、駅広場の整備、防災施設の充実を含めたオフィスや商業店舗で構成されたA街区、地上39階建ての高層棟に商業店舗、オフィスに加え550戸の住居を供給するB街区が開発されます。

ただ商業や業務、医療や文化交流超高層マンションなど、今やどの開発エリアでも見られる「てんこ盛り」な計画書を読んでいると、ビジョンがやや平板過ぎるような感じも抱いています。

区の西側の堀切近辺は特筆すべき点が見当たりません。毎年6月中旬頃には堀切菖蒲園に咲く菖蒲が話題となりますが、「街」としての活気は今一歩というところでしょうか。

堀切菖蒲園(写真提供:Photo AC)

南側の奥戸付近も新小岩の駅などから遠いうえ環七に分断され、「街」の核となる場所が見当たらないのがいささか残念です。

牧野知弘
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『街間格差』『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『こんな街に「家」を買ってはいけない』『2040年全ビジネスモデル消滅』など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
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