スマート・ベニューの先進事例における新たな官民連携とスポーツ×デジタル化への期待
スポーツ領域で加速するデジタル化
スポーツ施設において、地域活性化の観点からの新たな官民連携の萌芽が出つつある一方、スポーツ産業のデジタル化を推進する動きも加速している。
その最初の動きは、株式会社NTTデータ経営研究所が早稲田大学スポーツビジネス研究所とともに2018年3月に立ち上げた「Sports-Tech&Business Lab」だ。
異分野・異業種の連携、産官学の知見・技術の融合により、デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネス、周辺産業や地域と連携したスポーツビジネスエコシステムの創出を目指す取組である。
設立以降、「Sports-Tech&Business Lab」は、様々な企業や有識者とともに「部活動の教育的効果プロジェクト」、「IoT活用による観戦者調査・エンゲージメント見える化プロジェクト」、「次世代eスポーツのビジネスエコシステム構築」といった実証実験やワークショップを開催している。
NTTデータ経営研究所は、2017年以降、2020年まで毎年、スポーツ産業において、ITによる新たな付加価値を生み出すソリューション・プレイヤーを「Sports-Tech(スポーツテック)」と呼称し、スポーツテック業界を俯瞰する「Sports-Tech Landscape」を公表してきた。
「Sports-Tech Landscape 2020」では、掲載企業数が2017年の64社から223社へと増えており、スポーツ領域を対象にIT等を活用した新しいソリューションを提供する企業が飛躍的に増加していることが明らかとなっている。
株式会社電通と米国の投資会社Scrum Venturesは、2018年10月に世界規模のスポーツテックアクセラレーションプログラム「SPORTS TECH TOKYO」(STT)を立ち上げた。
2019年8月にはサンフランシスコで、ファイナリスト12社がプログラムの成果を発表するSPORTS TECH TOKYO ワールド・デモデイを開催し、多数の事業開発やDX支援を推進している。また、2020年7月からはスポーツ庁とSTT共催で「INNVATION LEAGUE プログラム」を開催。スポーツテックの「アクセラレーションプログラム」と先端的な取組を称える「コンテスト」を行っている。
2020年度では日本バレーボール協会、3x3.EXE PREMIERと連携し、視聴体験やファンエンゲージメントの拡大など、5社の有望テック企業とのアクセラレーションプログラムを実施した。またコンテストではイノベーションリーグ大賞、ソーシャル・インパクト賞、アクティベーション賞、パイオニア賞を授与して、先駆的なスポーツの拡張を称えている。
プロスポーツでは、バスケットボールのBリーグが2019年7月に策定した中期経営計画に、デジタルマーケティングの進化が盛り込まれてあり、「新チケットシステムによる顧客拡大」、「統合データベースの活用とマネタイズ」の推進を掲げた。