シルバー民主主義の問題
古賀 ところで、海江田さんはどうして政界に打って出たんですか?
海江田 学生時代の挫折があったとはいえ、社会のために何かしなければとは思っていました。ちょっとキザな言い方をすると「持続する志」を持っていたかった。
早いもので衆議院議員初当選から30年が経ちます。自分は生涯現役であろうと思っているけど、下の世代からの「いつまで頑張るんだ」というまなざしも感じますね。「老害」とまでは言わないけども(笑)。自分はあまり迷惑をかけたくないからもう身を引こうという思いと、やっぱり元気に働けるうちは社会の問題を少しは解決したいという思いがあって、複雑な気持ちです。
この4月に統一地方選挙がありますが、地方議員のなり手不足が問題になっていますよね。リタイア世代は地方議員をやるといいんじゃないかと思っています。実際、公務員を定年でやめて地元に帰り市議会議員をやっている知り合いもいます。
高齢者は自分たちのことしか考えていないと思われがちですが、これは偏見だと思います。もちろん若いうちは自分のことしか考えなかったですよ。ただ60代くらいから、若い世代のことを自然と考えるようになりました。その意味では、高齢者には地域の中にどんどん入って活躍してもらうのがいいと思うんですよね。
有権者の中で高齢者の割合が増えることで高齢者優遇の政治になることを指す「シルバー民主主義」という言葉もありますが、なり手が不足した地域で議員になるのであれば、そこまで悪くないんじゃないかな。場合によっては地方議会では、年金をある程度もらっている人は、給料はなしか、ほんのわずかとしてもいいかもしれない。
古賀 欧米の小さい町では市民みんなで議論していることが多いですからね。社会を良くするために、なんらかの形で少しでも団塊世代の方々が頑張ることが非常に大事だと思いますね。「企業戦士として高度成長を支えてきたからもういいでしょ、あとは楽をさせてくれ」と思う方もいるので一律には言えないけど、いろいろな面で団塊世代の皆さんには社会に関わり、社会のために活躍していただくことが一番いいんじゃないかと思います。
海江田 私たちは一部は先鋭化しすぎたところがあったとはいえ、時代を先取りして文化や社会のありようを変えてきたという自負もあります。だから今でも通用するものはあると思っています。これまでの失敗や経験をもう一回社会に還元できないかを考える必要がありますね。