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妻に「わたし、主婦業やめたい」と言われた夫の気持ち

唐仁原裕樹
2020年春に実施されたコロナ禍での一斉休校を覚えていますか?
3人の子供たちとともに自宅待機を余儀なくされたワーキングマザーの唐仁原けいこさんも、その一人。悩んだ結果、主婦業を減らすことを決意し、様々な施策を練って環境改善に取り組んだ様子をまとめた書籍『主婦業9割削減宣言』を上梓しました。
今回は、著者の夫である裕樹さんに、妻の奮闘ぶりを身近に見ながらどんな風に感じていたのか、聞きました。
主婦業の未来は、妻だけの問題ではないのかも、しれません。

妻の負担に気づかなかった愚かな夫

「主婦業9割削減を目指します!」

2020年6月。妻が自身のブログにて宣言をした。

我が家は夫婦で結婚相談所などの事業を営みながら、私は会社員として勤めに出ていた。

当時、7、4、1歳と幼いこども達は新型コロナウィルスの影響による休校措置で小学校、幼稚園、保育園が長期間休みとなり全員が家にいた。

妻が担う家事育児の負担は増大。仕事もままならず、多大なストレスを抱え怒りたくないのに子供に怒ってしまう日々が続いた。「みんながうまくやっていることなのに、どうして自分はできないんだろう」と、一人で夜中に枕を濡らしていたという。

しかし私は、妻がそこまで追い詰められていたことに気づかなかった。

我が家は家事分担などは特に決めずに過ごしてきた。だが、共働きであるにもかかわらず家事負担の比重はいつの間にか妻の方が圧倒的に多くなっていた。仕事が大好きな妻は、思うように業務を進めることもできず、自分の母や身近な人たちからは「仕事を辞めたら?」と言われていた。だが共通の知人であるコンサルタントの方に相談をしたら思いも寄らない答えが返ってきたのだ。

「仕事が大好きで、実績もある奥さんが苦手な家事をやるのは一家にとって損失。家庭を会社だと考えたら完全に人事を間違っているよ。」

私はその言葉を聞いてハッとした。「家事は女性がするものだ」と、無意識のうちに考え値たようで妻に負担を押し付けていたのだ。働きながら家事育児をすることがどれだけ大変かをわかっているからこそ自らは避けていた節もある。単に妻に甘えていた自分に気が付いた。

そこで夫婦で話合い、妻が今まで担ってきた主婦業を削減していくことにしたのだ。

主婦業9割削減宣言

唐仁原けいこ

あなたが今当たり前に「やらなきゃいけない」と思い込んでいる主婦業は、本当に自分の手でやらなくてはいけないことなのでしょうか? 「自分がやらないと家庭が回らない」 「母だから仕方ない」 「妻だから仕方ない」 「3人も子供がいるから仕方ない」 本書は、本心ではやりたくないことがほとんどであっても、みんなが当たり前にやってるんだから私もやらなくちゃと勝手に思い込んでいたワーキングマザーの著者が、「主婦業9割削減を目指す」という壮大な目標を立てて臨んだクリエイティブな挑戦の記録です。 そこには“過去の常識"とか“当たり前"とか“世間体"を外してみた時にしか見えない新しい世界がありました。 もし、あなたが主婦業を「やりたい」と思ってやっているわけではなく、「仕方なく」やっているのだとしたら、この本を読むことで、人生に大きな変化を生むことができるかもしれません。

唐仁原裕樹
『主婦業9割削減宣言』著者・唐仁原けいこの夫。
【唐仁原けいこ略歴】1980年大阪生まれ。3児の母であり、ワーキングマザー。
複数のキャリアを同時進行するパラレルワーカーとして、夫婦で運営する結婚相談所「ユカリ・ハート」、セミナー運営、パラレルキャリア相談など活動は多岐に渡る。2020年コロナ禍における全国一斉休校をきっかけに、育児、仕事、家事でキャパオーバーな自分を実感し「主婦業9割削減を目指します」と宣言して、ブログを開設したことで、メディア掲載多数。“やらなければならない"という思い込みからの解放で、アイデアと工夫を発信しており、子育て世代の女性から共感を得ている。
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