コスパ良く長い時間をつぶす
――選書の基準についてはいかがでしょうか。
面白かったり、設定が奇抜だと思ったりした作品を主に紹介しています。一方、視聴者さんからお勧めいただいた本や、僕のフォロワーさんに多い中高生に小説の良さを知ってもらえそうな本を選んだりもします。
個人的に感じる面白さのポイントは、登場人物にどれだけ感情移入できるかや、色々な悩みに寄り添ってくれることなどです。
――大学入学後から本をよく読み始めるようになったとのことですが、きっかけは何でしたか。
大学1年生の時に自由に使える時間が増えて、趣味を作りたいと思い色々試していたところ、読書が最もしっくりきました。
僕は小学校3年生の頃から大学4年生の秋まで、本気で野球をやっていました。その間は、本当に野球中心に回っていた人生なんです。特に高校時代は野球を一生懸命頑張った3年間だったのですが、大学に入って、時間ができました。
それに伴って、趣味を作りたいと思いまして、映画や釣り、登山など様々な趣味を模索していったのですけど、いかんせんお金がなくて。映画を観るにしても、当時はNetflixやAmazonプライム・ビデオが今ほど充実していなかったので、基本的に映画館で観るのでお金がかかってしまう。
僕は、コスパ良く長い時間をつぶしたいと思っていたんです。なので、小説は、文章だけであんなに分厚くて、かつ、文庫本だったら1000円を切るものがほとんどで、かなり費用対効果がいいんじゃないかと。書店で買って、初めて読んだ小説が東野圭吾さんの『白夜行』という作品なんですよ。
かなりページ数が多い作品なので、2、3週間ぐらいかかったんですけど、読み切ることができて、かつ、本当に面白くて。1000円強で長時間楽しむことができた。僕が思い描いていた、効率良く最高の時間を過ごす、そういうことができたと思って、一気に小説の魅力にはまっていった感じです。
1998年福岡県生まれ。小説を紹介する動画が出版業界から注目されている。4月29日には初の著書『ワカレ花』が刊行予定。TikTokのアカウントは、@kengo_book