今年二月に「海警法」を施行し、東シナ海や南シナ海へのさらなる野心を見せる中国。
日本は中国の挑戦に対し、どのように向き合うべきか。
尖閣諸島を防衛するための課題と対策を、笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄さんが論じる。
(『中央公論』5月号より一部抜粋)
日本は中国の挑戦に対し、どのように向き合うべきか。
尖閣諸島を防衛するための課題と対策を、笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄さんが論じる。
(『中央公論』5月号より一部抜粋)
中国の海警法施行(二〇二一年二月)は、これまでも激しく行われてきた尖閣諸島への中国の海警局による公船の侵入や日本漁船の追尾という行為に加えて、日米や国際社会の中国への懸念をさらに高めることになった。なぜなら海警法は、中国が管轄区域と考える地域(中国は尖閣諸島の領有を主張している)において、海警局の艦船に武器使用権限を認めたからである。
この懸念は、三月十六日に東京で行われた日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書にも反映され、「中国海警法等の最近の地域における混乱を招く動きについて深刻な懸念を表明」し、「日米安全保障条約第五条の下での尖閣諸島を含む日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントについて議論」したと記された。本稿では、より厳しさを増した尖閣諸島防衛への日本の喫緊の課題を、日米同盟とグローバルな安全保障および国内防衛体制の観点から検討し、その対策を提言する。