「都区部で最も空き家が多い」というレッテルを貼られた豊島区
豊島区は区の中央部に池袋がでんと構え、そこから区内各処へと鉄道網が張り巡らされています。
池袋駅にはJR山手線、埼京線、新宿湘南ライン、東武東上線、西武池袋線、東京メトロ丸の内線、有楽町線、副都心線の8路線が乗り入れ、一日当たりの乗降客数が262万人を数える大ターミナル駅です。
しかし2014年、豊島区が日本創成会議から全国に896ある「消滅可能性のある自治体」の一つに名指しされてしまいます。また豊島区は23区内では空き家率が13.3%(2018年)と都の平均の10.6%を大きく上回っており、「都区部で最も空き家の割合が多い」といううれしくないレッテルまで貼られてしまいました。
この状況の背景には、人が集まる池袋周辺のマンションの多くが投資用の手狭なワンルームばかりで、ファミリーが住めず、結婚をした単身者が池袋から出てしまう、といった悪循環が存在しています。
そこで区ではワンルームの建設規制などを進めていますが、規制前に建てられたマンションが今も池袋駅周辺に多く、今後そうした物件をどう扱うかが、池袋を「住む街」として選んでもらうためのカギになると思います。
住みやすさなら大塚、巣鴨
山手線沿線を選ぶのならば大塚や巣鴨は住みやすいかもしれません。
大塚は、駅周辺に飲食店や商店がひととおりそろい、通好みの居酒屋が軒を並べています。特に南大塚は落ち着いた住宅街で、最寄りの東京メトロ丸の内線の新大塚駅からは大手町や銀座、霞が関方面へ容易にアクセスできます。
巣鴨は駅周辺に一部風俗街が残るものの、駅北側にある染井霊園は旧水戸徳川家の墓所で敷地面積は6・8 haにも及びます。敷地内はよく整備されて緑が多く、住民の憩いの場となっています。
巣鴨はとげぬき地蔵でも有名です。「とげぬき地蔵」とは、高岩寺という曹洞宗の寺院の通称ですが、地蔵通り商店街には毎日大勢の買い物客や観光客が訪れ、とても賑やかです。物価も安く、昔懐かしい雑貨屋、飲食店が軒を連ね、生活するにはうってつけです。
チャイナタウン化が進む池袋
先述した池袋は北口を中心に急速にチャイナタウン化が進んでいます。
ここに集まる中国人の多くは「新華僑」と呼ばれる1980年代以降に日本にやってきた人たちです。
横浜や神戸、長崎などの中国人たちは「老華僑」とも呼ばれますが、彼らとは世代が違います。もともとこの近辺は風俗店が多く治安もあまり良くありません。繁華街周辺に位置する上池袋や池袋本町はその影響を受け、以前よりも住みにくくなった印象があります。
さらに西武池袋線沿線がぱっとしないのは練馬区の項目で述べたとおりです。
西武線の東長崎駅付近は、商店街が栄えていて物価が安く、それでいて家賃も手ごろなので生活コストとしては良いと思うのですが、この場所にどうしても住みたいといった特徴がありません。
開発の余地が残されていないことから、あくまで「これから」という意味での発展性にはさほど期待できないように感じています。