野党協議の重点は「政権のあり方」
─四月の国政補選、再選挙は野党が勝利しました。衆院選に向けて野党の選挙協力は進んでいきますか。
三つの国政選挙は大きな成果をあげました。自民党がかなり強い広島でも勝った。選挙の後に立憲民主党の枝野代表と党首会談をして、野党が一本化したことが勝利につながったという点で認識が一致しました。同時に、その場で私が言ったのは、今後の問題として、互いの力をさらに発揮する共闘にするためには、「対等平等」「相互尊重」の二つの基本姿勢が大事だということです。枝野代表からも相互に尊重することは大事だという発言がありました。共闘は政治的に立場が違うもの同士が一致点で協力するものです。立場の違いをわかったうえで互いに対等平等で、また互いにリスペクトしてこそ力が出る。
私は、今後の協議について、野党間の選挙区調整だけではなく、「共通政策、政権のあり方、選挙協力の三つの分野で協議していきたい」と提起しました。枝野代表は、「政策については違うところも当然あるが一致する点もある。一致する点を明らかにする話し合いをしていきたい」と言われました。共通政策を政党間協議で作っていくことになったのは、大事な前進だと考えます。
特に「政権のあり方」で前向きの合意を作ることが、本気の選挙協力を進めていくうえで大変に重要になってくると思うんです。自公政権を倒すということは当然一致する。では倒した後にどういう政権を作るのか。よく閣内協力か閣外協力かと聞かれますが、私は、一貫して「どちらもありうる」と言っています。それはパートナーとなる政党や市民団体の皆さんと相談して一致点で決めればいい。私が強調したいのは、閣内であれ閣外であれ、安保法制廃止と立憲主義の回復という大義を土台にして日本共産党を含む政権協力の合意ができれば、共闘の画期的な新局面を開くことになるということです。何より国民に向けて、野党の本気度が伝わると思いますよ。
(『中央公論』2021年7月号より抜粋)
1954年千葉県生まれ。東京大学工学部物理工学科卒業。日本共産党中央委員会書記局員、党中央委員などを経て、90年に35歳で書記局長に就任。93年衆議院議員初当選。2000年から現職。『改定綱領が開いた「新たな視野」』など著書多数。