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【最終回】フェアと本売りの未来を探る! ~中公新書60周年・中公文庫50周年フェアから「俺」フェアまで~

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載回最終回

フェアの売り上げ目標は○○%!?

私が「売り上げup以上の目的」の存在を嗅ぎ取ったのにはもう一つ理由があります。それは、フェアの売り上げ率の現実について。フェアはお祭りのようなものなので、ひっそりとやっていても仕方がない。それなりの規模に見せるためにはそれなりの冊数が必要です。

 

一般的にフェアというのは大体30%売れたら及第点といわれるほど返品率が高いのです。在庫が少ないとフェアのために重版するということもたまにありますが、結構な数が返ってきて持て余してしまうことも。また、応募券をフェア帯につけておいてプレゼント企画を実施することもよくありますが、これにかかるお金も手間暇も馬鹿になりません。

 

こういったリスクを背負っていながら、なぜフェアを開催するのか。それは一つに、「盛り上がってる感」の演出ではないかと思います。

次は、それは単に書店に人を呼び込むための「盛り上がり」ではなく、業界の盛り上がり、そして読者の気持ちの盛り上がりなのだ、ということを感じるきっかけになった私の体験をお話しします。

私のフェア作り体験記①~中公新書60周年フェア~

2022年は中公新書が60周年を迎えた年でした。

店頭でのフェアのコンセプトは、創刊年の1962年から2022年まで、1年に1冊を選んで60冊を並べるというもの。古いものは絶版となっている銘柄も多かったのですが、逆に、刊行された中公新書が全て絶版になっている年がない、というのは驚異的なことだと思います。

 

今回見せ方で工夫したのはPOPのコメント。60点全てに推薦・感想コメントをつけましたが、著名人・学者先生・書店員そして一般の方と、その内訳に偏りがないようにしました。

一般の方のコメントは、Twitterや読書メーターにて書名で検索し、素敵な感想をつぶやいてくれている方にDMを送って許諾を取るという荒業にて渉猟。読者を巻き込んで、一緒にフェアを盛り上げることを目指しました。

 

かくして、「毎年ロングセラーを生み出し、かつ色んな人に愛され続けているレーベル」というイメージを演出し、さらなる中公新書ファンの増加を狙ったのです。

(ジュンク堂書店三宮店展開写真 ※展開は終了しています)

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