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GPT以後「知識の集積地」としてのネット空間は汚染されていく。私たちはいつまでWikipediaを信用できるのか

人工知能はウソをつく【第1回】
清水亮

「知識の集積地」の危機的状況

「まさか紙でやるんですか?

「うーん、紙というか、まあ紙じゃなくてもいいんだけど、とにかくインターネットからは絶対に見られない、買うこともできない。下手をすれば、誰も読むことができないような百科事典を作りたいんだよ。インターネットで読めるようにすると、GoogleMicrosoftが自社のAI学習用に使うだろうからね」

有名な「ロボット三原則」を提唱したSF作家のアイザック・アシモフの代表作のひとつに「ファウンデーション」シリーズがある。

「ファウンデーション」シリーズでは、栄華を極めた銀河帝国の衰退をある数学者が予告する。

数学者は、心理歴史学という学問分野を作り、心理歴史学上の計算の結果、銀河帝国が崩壊し、数万年に及ぶ野蛮な時代が到来することを予測する。

この予測に基づき、心理歴史学者は銀河皇帝に「銀河帝国の最辺境の地にファウンデーションを設置し、銀河帝国の知識のすべてを集約した銀河大百科事典を編纂すべし」と上奏するのである。

アシモフは「ファウンデーション」シリーズの執筆に当たり、エドワード・ギボンの「ローマ帝国興亡史」に着想したという。

文明が衰退していく際、危機を救うためにまずすることが「百科事典の編纂」というのは非常に興味深い。

今、実際にインターネットは人間の「知識の集積地」として危機的状況である。これはChatGPTが登場する何年も前から始まっていたことだ。

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