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時を超える「戦記」――新入社員が『デルフィニア戦記』に出会ったら。

若手社員の いま気になるあの本

ノベルスの歴史

『デルフィニア戦記』はCNOVELSファンタジアで発表されたシリーズ作品だ。当時はノベルスというと講談社ノベルスや光文社のカッパノベルズなど各社レーベルを持つ人気ジャンルだったとか。新書サイズの小説が楽しまれていたようで、特にミステリーや架空戦記の作品がブームになっていたという。わたしも赤川次郎さんの『三姉妹探偵団』シリーズなどをノベルスで読んだ覚えがある。当時のノベルスや『デルフィニア戦記』について、担当編集に話を伺った。

 前に勤めていた会社で、茅田砂胡さんの『王女グリンダ』という作品を担当していた編集Nさん。しかし2巻刊行されたところで出版社が倒産し、このままこのシリーズを眠らせるのは惜しい......と思い、本とともに転職活動をしたという。

「『王女グリンダ』は作者が構想している世界の、文庫版の第二部にあたるところからスタートしました。中央公論社(当時)で出す際に、ふたりの出会いから改めて始めるとなったのです。『デルフィニア戦記』というタイトルも決まったことで、主人公もリィとウォルの二人になりました」

  そこから茅田さんと二人三脚で199398年の間に年3作ずつを出すことになる。

「5巻目に『王女グリンダ』で描いていた時代に追いつくのですけれど、前と違う! といった反響も多く......。説明が大変でした(笑)」と苦労話を語ってくれた。茅田さんとNさんが最初に顔をあわせたときから約30年。『デルフィニア戦記』が終わった翌年には新シリーズ『スカーレット・ウィザード』がスタートし、今も担当編集を続けている。最後に、一番好きなシーンについても聞いてみた。

「リィさんがウォルを探して走りまわるシーン。ウォルは金色の狼を幻視して......。闘技場にたどり着いたリィさんがいう『誰がお前に鎖を繋いだ!!』ですかね」

"リィさん"という呼び方に、物語との長い付き合いが感じられた。現在シリーズは、累計137万部を突破している。

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