中央公論 2021年8月号
2021年8月号(7月9日発売)
定価950円(本体価格864円)
発売中
【 特集 】
教養と自己啓発の深い溝
積めば積むほど、自らに厳しくなる
知識の豊かさが本質ではない
▼村上陽一郎
修養ブームが生み出した潮流
近代日本の自分磨き
▼大澤絢子
青年学級、大学、そして司馬遼太郎ブーム
格差ゆえに教養が求められた時代
▼福間良明
技術知・実務知、歴史的人物、自分らしさ......
「ビジネスマンの教養」の系譜と現在
▼牧野智和
「大きな物語」が喪失した時代
新たな知の共同体を作れるか
▼隠岐さや香
運命から自身を解放するために
独学のススメ
▼読書猿
学びの場か、信者ビジネスか......注目集める仕組みのいま
オンラインサロンに人は何を求めているのか
▼藤谷千明
【特集】
今こそケインズ!?
『一般理論』から読み解く現代日本
市場・規制・コロナ禍
▼山形浩生
現代マクロ経済学の源流と現在地
その知見がもたらしたもの
▼矢野浩一
政策とアカデミズムへの影響
ケインズはいかに日本に受容されたか
▼野原慎司
時評2021
「普通の外交」を取り戻した世界
▼鈴木一人
マクロで語れぬコロナショック
▼飯田泰之
ワクチン忌避とコミュニケーション
▼内田麻理香
大丈夫か韓国
文在寅外交の課題と展望
米政権で変わる対中政策と困難続く対日関係
▼西野純也
鬱積する若者の不満と広がる不公平感
▼春木育美
「世界の知性」に聞く②
SDGsの立役者が語るパンデミック後の世界と日本の役割
▼ジェフリー・サックス/聞き手:佐藤智恵
火力より低コストに転じた太陽光・風力発電
脱炭素「46%」の衝撃 なぜ日本は乗り遅れたのか?
▼前田雄大
お笑い芸人の引退から見えてきたもの
M-1が変えた芸人界と、 崩れ始めた一般社会との「壁」
▼西澤千央
〔対談〕
気候変動・資本主義・民主主義をめぐって
普遍的な価値への想像力を持てるか
▼大澤真幸×平野啓一郎
追悼 立花 隆
「知の巨人」が示した 寛容と批判のジャーナリズム
▼佐藤 優
パレスチナ問題の泰斗・マフディー博士に聞く
未熟なイスラエル新政権に懸念 自由と尊厳をパレスチナに
▼マフディー・アブドゥルハーディー
◎解説「監獄」となったガザ、エルサレム
▼鈴木啓之
好評連載
琉球切手クロニクル⑨
デザイナー・伊差川新の活躍
▼与那原 恵
冒険の断章㉕
書くことの不純について
▼角幡唯介
地図記号のひみつ⑮
伝統ある桑・茶・果樹園の記号
▼今尾恵介
地球行商人
味の素 グリーンベレー【第7回】
▼黒木 亮
連載小説
馬上の星──小説 馬援伝【第4回】
▼宮城谷昌光
任俠楽団【第6回】
▼今野 敏
雪澱【第24回】
▼黒川博行
南洋のエレアル【第6回】
▼中路啓太
グラビア
海神の楽園⑧
▼撮影・文:伊勢優史
美しい城下町を訪ねて⑳
岐阜県 美濃市
▼撮影:米田 渉/文:牧口じゅん
美しき琉球切手⑨
▼文:与那原 恵
昭和モダン建築東西勝負【最終回】
アール・デコ
▼撮影:黒沢永紀/文:北夙川不可止
連載・コラム
ニュースの一枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある㉜
▼小谷野 敦
炎上するまくら56
▼立川吉笑
書苑周遊
新刊この一冊
▼稲泉 連
著者に聞く
▼坂口恭平
このマンガもすごい!
▼倉持佳代子
Book Clip
2021年8月号【編集長から】
今月の特集は「教養と自己啓発の深い溝」でした。教養と自己啓発のどちらが上でどちらが下かというつもりはありません。いずれも生きて行く上で大事な学びでしょう。一方でともにどこか捉えどころのない言葉でもあります。思い出すのは若いころ、年配の先輩に飲みに誘われ、教養についてのうんちくを聞いときのことです。知識が豊富で人当たりも良く、仕事に前向きなその先輩は、にこやかに穏やかに、教養の何たるかとその必要性を語ってくれました。社会人になって間もない私は「教養人」とはこういうものかとありがたく拝聴したものです。ところが興に乗った先輩は「僕は官学を出たからそういう教育を受けているけど、私学出はだめだね」とポロリ。その程度の物差しで教養を語っていたのか。しかも私学出の私の前で。先輩に対する評価は一瞬にして「えせ教養人」に変わりました。
オリンピックが近づいています。個人的には五輪開催に賛成してきましたが、反対意見にもうなずける部分が多々あります。新型コロナの感染状況はどうなるのか、ワクチン接種はどれほど進むのか。状況は刻一刻と変化しています。先日、ワクチン接種券が届いたので、会社近くの大規模接種会場で一回目の接種を受けてきました。五輪を開催して良かったと思える日が来ることを願いつつ。
編集長:吉山一輝