中央公論 2021年11月号
2021年11月号(10月8日発売)
定価950円(本体価格864円)
発売中
【 特集 】
一人で老い、一人で死ぬ社会
カギはプロの介護、世帯分離、人づきあい
気楽で悩みもなし おひとりさまの大往生
▼上野千鶴子
「人生の意味」の短い歴史
一人を生きるときに頭をもたげる問い
▼村山達也
独身の強みと他人と共にいること
僕が結婚しない理由
▼ヒロシ
人生の終わりに向けて
終活は誰のためにするのか
▼木村由香
弔いの現場から見えるもの
超高齢社会の「孤独死」と葬儀を問う
▼佐藤信顕
【 特集 】
90年代文化という分水嶺
SNS前夜の日本社会が残した課題
「ネタ」として消費できること、できないこと
▼TVOD
90年代、書店とは何であったか
アマゾン以前の景色として
▼小林 浩
『クイック・ジャパン』創刊編集長が語る90年代と現在
個人の眼と情熱が支えた雑誌作り
▼赤田祐一
時評2021
見えてきたバイデン外交の輪郭
▼鈴木一人
「45歳定年」論──求められる視点の転換
▼飯田泰之
ポリウレタン製マスクから社会の未来を考える
▼内田麻理香
世界の知性」に聞く④
コロナと貧困から 世界を救出するためにすべきこと
▼ムハマド・ユヌス/聞き手:佐藤智恵
ロシア、朝鮮、市民運動......歴史と現実に向き合って見えたこと
「進歩的知識人」とリアリズム
▼和田春樹/聞き手:辻田真佐憲
〔対談〕
ドストエフスキー 生誕200年
『カラマーゾフの兄弟』が映し出す 行き過ぎた新自由主義の果て
▼池上 彰×佐藤 優
〔対談〕
米中 衝突する理念と力
軍事力と可能性から考える台湾有事
▼阿南友亮×森 聡
実務家総理・菅義偉の レガシーと痛恨事
▼中北浩爾
平民宰相とはなにか
原敬と菅義偉に求められたもの
▼清水唯一朗
新型コロナ分科会会長が語る
菅政権がコロナに敗北した理由
▼尾身 茂/聞き手:牧原 出
たばこ税をきっかけに考える
対立を煽らずお互いが共存できる社会に
▼二宮清純
独りで死ぬまでに読むブックガイド
▼浅羽通明
地球行商人
味の素 グリーンベレー【第10回】
▼黒木 亮
令和3年 谷崎潤一郎賞発表
【受賞作】
金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』
【選評】池澤夏樹/川上弘美/桐野夏生/筒井康隆/堀江敏幸
煙草の吸えた三月の居酒屋
▼金原ひとみ
好評連載
琉球切手クロニクル⑪
琉球舞踊の復興
▼与那原 恵
冒険の断章㉘
コロナ禍でも北極に行く理由
▼角幡唯介
地図記号のひみつ⑱
森の記号は針葉、広葉、その他いろいろ
▼今尾恵介
連載小説
任俠楽団【第9回】
▼今野 敏
雪澱【第27回】
▼黒川博行
馬上の星──小説 馬援伝 【第7回】
▼宮城谷昌光
南洋のエレアル【第9回】
▼中路啓太
グラビア
海神の楽園⑪
▼撮影・文:伊勢優史
美しい城下町を訪ねて㉓
兵庫県 丹波篠山市
▼撮影:米田 渉/文:牧口じゅん
人生の極意はソロキャンプにあり
▼ヒロシ
Memories 私の書斎
▼大宅壮一
美しき琉球切手⑪
▼文:与那原 恵
連載・コラム
ニュースの1枚
炎上するまくら59
▼立川吉笑
深層NEWSの核心
音楽には物語がある㉞
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼阿部公彦
著者に聞く
▼坂巻哲也
このマンガもすごい!
▼杉田俊介
Book Clip
【特別企画】
建設現場で輝く女性たち!
大豊建設 地域を支える眼科医療 頼れるドクターたち①
▼いくの眼科
2021年11月号【編集長から】
炭治郎は確かによくしゃべっていました。10月号に掲載した「2010年代ヒット漫画の饒舌と沈黙」で、著者の谷川嘉浩さんは大ヒット漫画『鬼滅の刃』を取り上げ、主人公が「感情や思考、体の状態を逐一報告している」と紹介しました。先頃、テレビで放送された同作品を見て、遅まきながら私もそれを確認した次第です。この「饒舌」について、谷川さんは「解釈に揺れが生じないように」するためだと解説しています。
説明責任を果たしていないと批判され続けた菅義偉総理は、自民党総裁選に立候補せず、菅政権は発足からわずか1年で終わりを迎えました。昨年の政権発足当初は、秋田生まれの苦労人、平民宰相ともてはやされ、朴訥な語り口が一つの魅力にもなっていました。しかし、コロナ禍で国民が求めたのは、解釈に揺れが生じるような言葉ではありませんでした。菅氏も努力はしたのでしょう。テレビ画面からは、顔を上げてはっきりと話そうとする姿が見えました。それでも、大事なところでかんだり、口ごもったり。
仕事をしっかりこなせば理解される。そういう立場もあるでしょうが、政治家にとっては饒舌な説明も仕事のうちです。少し寂しい気もしますが、「以心伝心」も「男は黙って」も、今のリーダー像には相応しくないようです。もうすぐ、饒舌さを競い合う衆院選が始まります。
編集長:吉山一輝