中央公論 2022年3月号

2022年3月号(2月10日発売)

定価950円(本体価格864円)

電子版

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中央公論 2022年3月号

【特集】格差と出自の研究

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【 特集 】
格差と出自の研究
――親ガチャは人生を縛るのか

〔対談〕
貧困の連鎖を断ち切る 子ども支援こそが日本再興の鍵   
▼森 雅子×阿部 彩

眉を顰める流行語で片づけてはいけない
絶望した若者たちの救いの言葉「親ガチャ」   
▼大空幸星

平坦な戦場で僕らが生き延びること
社会的孤立と関係格差の最前線   
▼土井隆義

〔匿名座談会〕
学校教師という最後の守り神   
▼高校教師3名

日本に横たわる格差と格差 " 感 "
いま求められる「再分配」は何か?  
▼飯田泰之

世襲はツラいよ?
政治家と皇族に見る選択の自由   
▼鈴木洋仁


時評2022

台湾有事と日本有事のあいだ
▼井上正也

おはよう未来
▼坂井豊貴

流動性の高まる社会で支えあう関係とは
▼小川さやか


韓国大統領選の混沌が削ぐ外交安保政策の推進力
▼西野純也

ロシアVS.ウクライナ
危険な陰謀論を乗り越えろ   
▼佐藤 優

「世界の知性」に聞く⑤
実験を通して経済学は社会に貢献する   
▼アビジット・V・バナジー/聞き手:佐藤智恵

新型コロナ「機内濃厚接触者」の14日間
水際対策から見えた二項対立と日本社会の機微   
▼苅谷剛彦

前総理が語る闘いの1年
優先したのは支持率よりもコロナ対策だった    
▼菅 義偉/聞き手:竹中治堅

仕事と働き方を考えるためのノンフィクションブックガイド
労働現場今昔物語   
▼urbansea

地球行商人 
味の素 グリーンベレー【第14回】   
▼黒木 亮


新書大賞 - 2022 -

〔新書通105人が厳選した〕
年間ベスト20

〔大賞受賞者に聞く〕
『サラ金の歴史』
歴史的な事実と、その先にあるもの   
▼小島庸平

2位『生物はなぜ死ぬのか』小林武彦、
3位『荘園』伊藤俊一ほかベスト20レビュー

〔新書という舞台──読む・売る・書く〕
▼私にとって「入り口の書」―――――――読書猿
▼手に取りやすく多彩なジャンル―――――津田敦子
▼雑然とした知のレベルを上げるために――辻田真佐憲

大栗博司、隠岐さや香、鈴木一人、三宅香帆......
目利き49人が選ぶ2021年私のオススメ新書


好評連載

琉球切手クロニクル⑮
沖縄への強い期待と関心   
▼与那原 恵


冒険の断章㉜
調和からあらわれる芸術性   
▼角幡唯介


地図記号のひみつ㉒
電気の歴史を反映する送電線   
▼今尾恵介


炎上するまくら63
お天道様が見ている   
▼立川吉笑


新連載小説

チャンバラ【第1回】
▼佐藤賢一


連載小説

南洋のエレアル【第12回】  
▼中路啓太

馬上の星──小説 馬援伝 【第11回】  
▼宮城谷昌光


グラビア

海神の楽園⑮
▼撮影・文:伊勢優史

美しい城下町を訪ねて㉗
高知県 安芸市土居
▼撮影:米田 渉/文:牧口じゅん

Memories 私の書斎
▼手塚治虫

美しき琉球切手⑮
▼文:与那原 恵


連載・コラム

ニュースの1枚

深層NEWSの核心

音楽には物語がある㊴
▼小谷野 敦


書苑周遊

新刊この一冊
▼高橋 徹

著者に聞く
▼國友公司

このマンガもすごい!
▼石岡良治

Book Clip


【特別企画】

地域を支える士業
頼れるドクターたち
▼杉浦医院

2022年3月号【編集長から】

 「親ガチャ」という言葉には、反発の声をよく耳にします。「努力不足を親のせいにするな」「親にはまず感謝せよ」。私もそうでした。経済成長が続いた昭和時代は、放っておいても親世代より豊かになれました。子供の頃を振り返り、貧しい中で育ててくれた親に自然に感謝もできました。今の社会、経済状況で若者たちに同じ感情を持てというのは酷なのかもしれません。この言葉が生まれた背景を大空幸星さんは「状況を突き放さざるを得ない苦しみ」があったと語ります。特集は「格差と出自の研究」です。

 数年前、帰宅途中の深夜12時ごろに、犬の散歩をする初老の男性とよくすれ違いました。最初は、男性も犬も立ち止まっているように見えました。近づくと、犬は見るからに雑種で、お世辞にもかわいいとは言えないヨボヨボの老犬。震える足を数センチずつ前に出しながら歩いていました。男性も犬の歩みに合わせて少しずつ。老いた愛犬との超スローな散歩のために、車も人もほとんど通らない住宅街の、その時間帯を選んでいたのでしょうか。犬の気持ちは分かりませんが「いい人に飼われて良かったな」と声をかけたくなったものです。いつが最後だったか、その散歩姿を見ることはなくなりましたが、今風に言えば「飼い主ガチャ」に当たった幸せな犬だったのでしょう。

編集長:吉山一輝