中央公論 2022年9月号
2022年9月号(8月10日発売)
定価950円(本体価格864円)
発売中
【 特集Ⅰ 】
安倍政治が遺したもの
「趣味は安倍晋三」 支えた22年間 私にとってあこがれだった
▼菅 義偉/聞き手:川嶋三恵子
自民党最大派閥の長老の証言
あうんの呼吸で「3期目」に備え
▼森 喜朗/聞き手:望月公一
保守の矛盾を体現した政治家
▼佐伯啓思
原敬暗殺との対比から見えるもの
対立のデモクラシーから対話の民主主義へ
▼清水唯一朗
「宰相安倍晋三論」
吉田ドクトリンに代わる新外交路線を築く
▼細谷雄一
道半ばのアベノミクス その経緯と未来
▼飯田泰之
「生涯の秘書官」が見た安倍総理
政治理念と勝負勘 ドゴールに匹敵する存在だった
▼北村 滋
時評2022
国葬をめぐるポリティクス
▼井上正也
ギャンブラーと政治家
▼坂井豊貴
政党マッチングと個人の倫理
▼小川さやか
家計と政策の視点で考える
止まらぬインフレといかに対峙すべきか
▼森永康平
お金、サービス、看取り......
介護施設はどのように選べばいいのか
▼池上直己
ルーブル高、原油高のゆくえ
ロシア制裁は世界経済に何をもたらすか
▼西谷公明
国際協力の課題を語る[下]
利他主義で深まる貢献 日本の強さの源泉に
▼北岡伸一/聞き手:伊藤俊行
【 特集Ⅱ 】
現代戦の洗練と野蛮
〔対談〕
サイバーや宇宙利用は手段 戦いを決する量・質・外交
▼土屋大洋×鈴木一人
衛星をめぐる攻防の舞台
戦場としての宇宙
▼青木節子
改めて問われる「資源小国」日本の覚悟
▼白鳥潤一郎
ウクライナでも暗躍する民間軍事会社の実態
▼黒井文太郎
「女性兵士」は何を求められているのか
▼佐藤文香
〔対談〕
国内外の潮流を考える
歴史修正主義と現代社会
▼武井彩佳×倉橋耕平
【 特集Ⅲ 】
大東亜共栄圏の残影
東亜新秩序から大東亜共栄圏、そして戦後秩序へ
近代日本のアジア新秩序構想をたどる
▼武田知己
帝国解体がもたらした悲劇
忘れられた「南方」の戦時と戦後
▼石原 俊
清沢洌、石橋湛山、石原莞爾......
戦時下の言語空間を拘束したもの
▼平山周吉
現代社会のリスクと個人の自由を考える
▼大屋雄裕
『シン・ウルトラマン』は何を継承したのか
▼真鍋公希
好評連載
琉球切手クロニクル【最終回】
琉球・沖縄の誇りを託されて
▼与那原 恵
炎上するまくら【第69回】
先回りの自主規制
▼立川吉笑
地球行商人
味の素 グリーンベレー【第20回】
▼黒木 亮
連載小説
馬上の星──小説 馬援伝 【最終回】
▼宮城谷昌光
チャンバラ【第7回】
▼佐藤賢一
ジウX【第2回】
▼誉田哲也
グラビア
海神の楽園㉑
▼撮影・文:伊勢優史
《Memories》 私の書斎
▼有吉佐和子
美しき琉球切手【最終回】
▼文:与那原 恵
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある㊺
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼カツテイク
著者に聞く
▼小林元喜
このマンガもすごい!
▼石岡良治
Book Clip
2022年9月号【編集長から】
★安倍元首相の通算在任期間は約8年8ヵ月で、長さだけで比較すれば、任期が2期8年までと決められて以降の米国の歴代大統領を上回る。訃報は瞬く間に世界を駆け巡り、米国では現地の7月8日朝から、バイデン大統領の指示でホワイトハウスはじめ政府・軍関連施設に半旗が掲げられ、民間のショッピングモールなども倣った。インドやブラジルは、国を挙げて喪に服した。首脳外交で重要なのは「会った回数」だと安倍氏自身が明かしていたと、政権を官房長官として支えた菅義偉前首相が、本号のインタビューで語っている。継続は力なり。
★在任中の実績だけが急逝に伴う衝撃の原因ではない。首相退任後も政界に君臨し続けた田中角栄、竹下登両氏以来ともいえる、久々の強力な「元首相」だったことは大きい。存命の元首相10人中6人はすでに政界を引退。現役の4衆院議員のうち今の与党は自民党の麻生太郎副総裁(81歳)と菅氏(73歳)で、67歳だった安倍氏より高齢だ。最近の安倍氏は体調が回復し、安全保障や財政をめぐり議論を仕掛け、最大派閥の領袖に就いて「数の力」も手にした。森喜朗元首相が本号で指摘したように「3期目」の覚悟はあると、少なくとも周りは見ていた。社会の分断を深めたのか、難局突破の起爆剤となったのか。いずれであっても晩節を見届けたかった。
編集長:五十嵐 文