中央公論 2023年1月号
2023年1月号(12月9日発売)
定価950円(本体価格864円)
発売中
【 特集Ⅰ】
効率重視の教養は本物か
文字リテラシーを守るために何ができるか
▼武田 徹
〔鼎談〕
ファストな社会の歩き方
倍速視聴から誇示的消費まで
▼稲田豊史×レジー×佐々木チワワ
真に面白いものは本とヒューマニティから生まれる
▼落合陽一
新自由主義の行き着く先で
加速する社会に抗うために
▼木澤佐登志
強制的なつながりが縮小する時代
最適化・リスク回避を目指す人間関係の行く末
▼石田光規
音楽の聴き方に見る時間のリベラリズム
▼鮎川ぱて
流行りのビジネス書と「論破」ブームが生み出す不毛地帯
面白い知的作業のために何ができるか
▼堀元 見
時評2023
戦争を終える時
▼岩間陽子
日本が「安い国」になった本当の理由とは?
▼井上智洋
「偽史」とフィクション
▼河野有理
学問と政治~新しい開国進取 安全保障編【第2回】
世界史的変動の中で日本の責任を考える
▼北岡伸一
【 特集Ⅱ】
第三極のリアリズム外交
なぜロシアに配慮するのか?
「四面楚歌」で行き詰まるインドの伝統的外交
▼伊藤 融
米中露との関係で独自の存在感
主体的なプレイヤーASEANとグレーな世界
▼大庭三枝
第二次世界大戦が教えるもの
中立国の支持を失い、孤立した戦前日本
▼加藤聖文
中国で6年投獄された日本人男性が独白
スパイに仕立てられても日中関係への思いは不変
▼鈴木英司
〔ルポ〕
ふるさと納税への依存が地域を劣化させる
「違反自治体」から見える制度の矛盾
▼葉上太郎
だれが佐野眞一を殺したのか
▼横田増生
10年後に「読む」民主党政権
蹉跌の歴史を知るためのブックガイド
▼urbansea
〔対談〕
戦争という「ストーリー」の彼方を描く
『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』×『南洋のエレアル』
▼武田一義×中路啓太
巻頭特別企画
THE LEADER―戦略を語る―森下覚恵・大豊建設社長
好評連載
炎上するまくら【第73回】
NHK新人落語大賞
▼立川吉笑
冒険の断章【第36回】
三島が『金閣寺』で確立した哲学
▼角幡唯介
地球行商人
味の素 グリーンベレー【第24回】
▼黒木 亮
短期集中連載
今、こんな本を読んでます【第1回】
飛ぶ話
▼村田喜代子
連載小説
チャンバラ【第11回】
▼佐藤賢一
ジウX【第6回】
▼誉田哲也
グラビア
海神の楽園㉕
▼撮影・文:伊勢優史
《Memories》 私の書斎
▼平山郁夫
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある㊾
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼ひらりさ
著者に聞く
▼藤田直哉
気まぐれ映画館
▼吉田伊知郎
Book Clip
2023年1月号【編集長から】
★サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で日本が強豪ドイツに逆転勝利したのは、監督の思い切った戦術変更と選手交代が功を奏したことが大きい。これが中国のような巨大国家の運営となると、トップがいったん掲げた政策を修正するのは難しくなる。「ゼロコロナ」政策に基づく厳しい行動制限の終わりが見えず、我慢の限界を超えた庶民が弾圧を覚悟で抗議の声を上げ、トップ交代まで求める異例の事態に発展した。
★中国でスパイ活動をしたとして拘束され、6年も囚われの身となった鈴木英司さんは、別の看板政策の実績作りに利用された可能性がある。習近平政権は2014年以降、治安維持を目的に「反スパイ法」や「国家安全法」を施行したが、今月号の鈴木さんのインタビューによると、中国は15、16年を「国家安全年」と位置づけ、摘発を強化していた。鈴木さんが捕らえられたのは、キャンペーン中の16年だった。その後も中国の招きで訪中した大学教授が一時拘束されるなど深刻な事例は後を絶たない。中国ではトップの発言がなければ現場は動けない。中国の古典に「君子は豹変す、小人はをむ(表面を改める)」とある。求められるのはどちらかはっきりしている。
★中国の法制を確認するのにスマホを多用した。特集タイトル「効率重視の教養は本物か」を自問しつつ。
編集長:五十嵐 文