中央公論 2023年5月号
2023年5月号(4月10日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
【 特集 】
官僚の没落
国家公務員制度担当大臣インタビュー
お役所を良くするのも政治の仕事
人材・やりがい・多様性
▼河野太郎
データで見るエリート学生の進路事情
▼本誌編集部
安倍元首相退陣後も漂い続ける「首相の意向」
官邸官僚が生み出した「無責任体制」
▼牧原 出
敗戦で経済官僚たちは変わったのか
今もさまよう統制の亡霊
▼中村宗悦
〔対談〕
江戸の役人、令和の官吏
「現代の大岡越前」は現れるのか
▼大石 学×北村 亘
米英独仏との比較から浮かび上がるもの
家臣型・無定量・人事一任の日本型は持続可能か
▼嶋田博子
〔対談〕
元キャリア官僚から見る破綻と回復への道筋
霞が関再生は国会改革から始まる
▼小川淳也×千正康裕
時評2023
スウェーデンで考えた日本の安全保障
▼岩間陽子
マネーストックの管理は日銀ではなく政府の責務
▼井上智洋
偉大なる「演技者」 大江健三郎
▼河野有理
アメリカの民主主義に新たな脅威
クリスチャン・ナショナリズムの台頭
▼ブルース・ストークス
統一教会研究の第一人者が語る
日本を「カルト天国」にしないために
▼櫻井義秀
上がらない賃金、低下する組織率、減らないブラック企業......
「従業員代表制」導入で労働組合再生を
▼野田知彦
学問と政治~新しい開国進取 安全保障編【第6回】
小沢一郎氏への助言と幻の「北岡党首」論
▼北岡伸一
〔対談〕
『安倍晋三 回顧録』を点検する
史料として読んでいくために
▼御厨 貴×中北浩爾
【 特集Ⅱ】
日常化する心の病
〔対談〕
現代社会に生きるしんどさ
「推す」心理、「推される」心理の向こう側
▼尾久守侑×中元日芽香
診断の普及で救われる人、救われない人
繁茂するメンタルクリニック
▼櫛原克哉
ネットが拓く新たな自殺対策とその課題
「死にたい」の可視化で生じた変化
▼末木 新
〔対談〕
臨床心理学とマルクスの分断
心をケアし、社会を良くする第一歩
▼東畑開人×斎藤幸平
〔対談〕
小津安二郎は甦えるのか
令和から見るその人物と作品
▼平山周吉×與那覇 潤
1990年代と現在の断層をめぐって
男らしさとスキンケアの相克
▼伊藤 聡
汚職に塗れやすい国家とは
縁故主義に囚われる世界
▼溝口哲郎
選挙の憂鬱
参政権くじ引き制のすすめ
▼山口晃人
巻頭特別企画
新時代の医療
川村産婦人科
新連載
文品 藤沢周平への旅【第1回】
修業時代の秀作──「木地師宗吉」
▼後藤正治
好評連載
炎上するまくら【第77回】
義祖母の遺影
▼立川吉笑
冒険の断章【最終回】
三島由紀夫の自決の企図
▼角幡唯介
新連載小説
美土里俱楽部【第1回】
▼村田喜代子
連載小説
邪行のビビウ【第2回】
▼東山彰良
グラビア
海神の楽園㉙
▼撮影・文:伊勢優史
追悼 大江健三郎
新書大賞2023 贈賞式・記念講演 報告
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第53回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼栗原 悠
著者に聞く
▼伊藤亜紗
気まぐれ映画館
▼吉田伊知郎
Book Clip
2023年5月号【編集長から】
★女ざかりは何歳までか。いや、その設問自体がくだらない。アジア系俳優として初めてアカデミー賞主演女優賞を受賞したマレーシア出身のミシェル・ヨーさんを見ていてそう思った。3月の授賞式のスピーチで、60歳のヨーさんは「女性たちよ、『お前のプライム(prime=全盛期)は過ぎた』なんて誰にも言わせないで」と語りかけ、50代の私は大いに勇気づけられた。
★アメリカでは2月、CNNテレビのキャスターが、2024年の大統領選に共和党から出馬する意向を示した51歳のニッキー・ヘイリー元国連大使について「もうプライムではない」と言い、女ざかりは「40代」までだと答えて非難された。その前にはヘイリーさんが、民主党で80歳のバイデン大統領を念頭に「75歳以上の政治家に認知テストを」と発言している。性別、年齢、党派の対立を煽る不毛な言葉の連鎖を、ヨーさんは映画で見せたクンフーのように一撃で見事に断ち切った。
★テレビにはプライムタイム(視聴率の高い時間帯)がある。岸田文雄首相のウクライナ訪問は、中露首脳会談、ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表「侍ジャパン」活躍のニュースと並んで取り上げられた。訪問は首相が外務官僚に発破をかけて実現したが、最近の霞が関はどうも元気がない。特集「官僚の没落」で背景を探った。
編集長:五十嵐 文