中央公論 2023年7月号

2023年7月号(6月9日発売)

特別定価990円(本体価格900円)

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中央公論 2023年7月号

【特集】安倍晋三のいない保守

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【 特集 】
安倍晋三のいない保守

私はジョーカーではなく、 ハートのエース
「粘着質の保守」を女性が変える
▼小池百合子

 

憲法と安全保障をめぐり安倍氏と決裂
「敵」と見なされても発言し続ける
▼石破 茂

 

総裁を託した彼のこと
「対立の岸」と「融和の池田」 一人二役をめざしていた
▼谷垣禎一

 

二人の友を喪って
安倍晋三さんと坂本龍一君のこと
▼塩崎恭久

 

「保守」の現在地
「国体護持」から「中今」へ
▼片山杜秀

 

解消しないジェンダー・ギャップ
外交戦略だった「女性活躍」
▼三浦まり

 

〔対談〕
保守本流とは何か
清和会・宏池会の軌跡と派閥政治のこれから
▼福永文夫×井上正也


時評2023

台湾一周の旅で実感した歴史の多層性
▼岩間陽子

AIが可能にする「アイディア即プロダクト」の経済
▼井上智洋

21世紀における君主制の運命
▼河野有理


学問と政治~新しい開国進取 安全保障編【第8回】
オーストラリア、台湾と沖縄で学んだこと
▼北岡伸一

 

フランス外交における「戦略的自律」のゆくえ
▼宮下雄一郎

 

フィンランドから見たウクライナ戦争
▼石野裕子

 

半年で2回のロケット打ち上げ失敗
「宇宙先進国」の復活に向け現場の力を生かせ
▼知野恵子

 

〔対談〕
教養のあり方、理系・文系、反知性主義、ChatGPT......
いまこそリベラル・アーツ教育を
▼田村哲夫×隠岐さや香


【 特集Ⅱ】
AI時代のことば力

  

沈黙のすすめ
好奇心を疑い、問う力を養う
▼若松英輔

 

言語習得に見る知性の本質
オノマトペ・記号接地・ChatGPT
▼今井むつみ

 

〔対談〕
「親しくなるための言語」はITでまかなえない
辺境で見つけた本物の語学力
▼高野秀行×伊藤雄馬

 

流浪の民ロマから学ぶもの
機械の間違い、人間の間違い
▼角 悠介


なぜ今、中国で上野千鶴子ブームなのか
▼古市雅子

 

大手チェーンも新規開店
アメリカで起きている「リアル書店」のリバイバル
▼安部かすみ


24回 読売・吉野作造賞 発表

受賞作『田中耕太郎──闘う司法の確立者、世界法の探究者』
▼牧原 出

〔選評〕
北岡伸一/猪木武徳/山内昌之/白石 隆/吉川 洋/老川祥一/安部順一


上司の引きで抜擢、人事を掌握、賄賂......
大奥という行政組織の中で逞しく生きた女性たち
▼畑 尚子

 

『万葉集』からSNSまで
一過性のブームでは終わらない短歌の魅力
▼高柳祐子


好評連載

炎上するまくら【第79回】
歯医者怖い!?
▼立川吉笑

文品 藤沢周平への旅【第3回】
「負のロマン」の頃──「闇の梯子」ほか
▼後藤正治


連載小説

美土里俱楽部【第3回】
▼村田喜代子

邪行のビビウ【第4回】
▼東山彰良


グラビア

海神の楽園㉛
▼撮影・文:伊勢優史

私と安倍さん
▼小池百合子


連載・コラム

ニュースの1枚

深層NEWSの核心

音楽には物語がある【第55回】
▼小谷野 敦


書苑周遊

新刊この一冊
▼鶴田想人

著者に聞く
▼海野 敏    

気まぐれ映画館
▼吉田伊知郎

Book Clip

2023年7月号【編集長から】

★安倍晋三元首相はトランプが好きだった。そう聞いて一瞬、アメリカの前大統領の顔が浮かんだが、さにあらず。政治家になる前の若い時分にポーカーを嗜み、「運が支配する騙し合いが面白い」と話していたと、安倍氏をよく知る人が教えてくれた。手持ちのカードが弱くても虚勢を張るブラフ、心の動きを読ませないポーカーフェース、スリルを楽しむ強心臓。勝ちを呼び込むテクニックは、権謀術数が渦巻く政界でも役に立つ。

★トランプで覚えているゲームは「大富豪」くらいで詳しくないが、ポーカーの醍醐味は取材に通じる部分があるように思う。本号で東京都の小池百合子知事、自民党の石破茂元幹事長、谷垣禎一元総裁、塩崎恭久元官房長官にそれぞれインタビューした。安倍氏との因縁浅からぬ4氏の本音やとっておきのエピソードを限られた時間の中でどう引き出すか、真剣勝負である。それなりの戦略を立てて臨んだつもりでも、現場では、『安倍晋三回顧録』で「ジョーカー」と称された小池氏が放った「私はハートのエース」の一言に息を呑み、「リベラリズムの傲慢」が世界の混迷の背景にあるという谷垣氏の指摘に深く頷かされ、ベテラン政治家の機転や思索に圧倒されっぱなしだった。こちらのシナリオにない展開になればなるほど面白くなる。詳細をぜひお読み頂きたい。

編集長:五十嵐 文