中央公論 2023年10月号

2023年10月号(9月8日発売)

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中央公論 2023年10月号

【特集】病と生きる──誰もが患う時代

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【 特集 】
病と生きる──誰もが患う時代

〔対談〕
コロナ禍で見えた社会の病理 治療と仕事を両立するには
▼大竹文雄×笠井信輔

高次脳機能障害の当事者として
脳が壊れた僕のできること、できないこと
▼鈴木大介

主治医には名医ではなく良医を
人生の優先事項を考えて治療方法を選んでいく
▼鎌田 實

ヤングケアラー対策でなお残る課題
「時間の再編」に対応した正規労働の改革を
▼澁谷智子

過度な長寿化がもたらした副産物
老いて病む人間、ピンピンコロリの動物
▼小林武彦

〔対談〕
東北の地を歩いて見えた希望
がんの辛さ、被災の悲しみを乗り越える力が人間にはある
▼垣添忠生×大島理森


時評2023

アルゼンチンの日系人と多重国籍問題
▼岩間陽子


宮﨑駿監督の新作ではなぜ戦禍が描かれなかったのか
▼井上智洋

あなたは一国の為政者でも私よりは弱い
▼河野有理


EU型社会を目指す国民の願いと連帯
汚職、オリガルヒと闘うウクライナの「市民社会」
▼平野高志

秦剛外相の更迭、「戦狼外交」......
中国「外交」はなぜ理解不能なのか
▼岡本隆司

学問と政治~新しい開国進取【第11回】
戦後50年の国会決議と幻の緒方貞子内閣
▼北岡伸一

問い直されるアイデンティティ
欧州で進むミュージアムの「脱植民地化」
▼村田麻里子

〔対談〕
プーチンに逮捕状を出した日本人裁判官が問う
日本は「戦争犯罪」への備えはあるか
▼赤根智子×フィリップ・オステン


【 特集Ⅱ】
コンサルの光と闇

  

なぜ必要とされ、なにが足りないのか
▼冨山和彦

「会社のお医者さん」の喜怒哀楽とやりがい
▼メン獄

東大生はなぜ起業を目指すのか
シン・エリート層のキャリア観の変化
▼各務茂夫


メディア今昔

〔対談〕
歴史の盲点、公共性、リテラシー......
戦前のメディア政治が現代に残した教訓
▼佐藤卓己×辻田真佐憲

技術と資金力で米国を揺るがす億万長者たち
イーロン・マスクは一人ではない
▼八田真行


切り取り報道に抗して30年    
メディアがフェイクを見破れずして、この国は守れない
▼猪瀬直樹

知られざる「切り抜き師」事情
▼本誌編集部

村上龍、糸井重里、柏木博、ナンシー関......
団塊ジュニア世代の目に映った言論空間
▼速水健朗


LGBT「活動家」と一般当事者はなぜ乖離したのか
▼三橋順子

SNS、コロナ、健康増進法......
現代社会の法と自由を考える
▼住吉雅美

追悼
月の人──森村誠一
▼角川歴彦


好評連載

炎上するまくら【第82回】
甲州街道の海賊
▼立川吉笑

文品 藤沢周平への旅【第6回】
「用心棒」シリーズ──『孤剣』『刺客』『凶刃』
▼後藤正治


連載小説

美土里俱楽部【第6回】
▼村田喜代子

邪行のビビウ【第7回】
▼東山彰良


グラビア

海神の楽園㉞
▼撮影・文:伊勢優史

Memories 私の書斎
▼陳舜臣

森村誠一 歩き続けて


連載・コラム

ニュースの1枚

深層NEWSの核心

音楽には物語がある【第58回】
▼小谷野 敦


書苑周遊

新刊この一冊
▼神里達博

著者に聞く
▼寺尾紗穂

気まぐれ映画館
▼三浦哲哉

Book Clip

2023年10月号【編集長から】

★ドラえもんの「ほんやくコンニャク」が現実になりつつある。外国人旅行者がよく訪れる店では、翻訳アプリを搭載したスマホや自動翻訳機を手にした店員が、対応する言語を選んで商品の説明をしている。駅の窓口では、会話を自動翻訳して表示できるディスプレーの導入も始まった。

★精度がさらに向上し、食べたら人間はおろか機械や宇宙人とも会話できる「ほんやくコンニャク」レベルになったとしても、ロシアのプーチン大統領の言葉を直訳するだけなら意味がない。民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏が6月の武装蜂起から2ヵ月後、搭乗機の墜落で死亡したと伝えられると、プーチン氏は「才能ある人物だった」と神妙に語った。ドラえもんのひみつ道具には裏の顔を引き出すシート「ウラオモテックス」もある。これをプーチン氏に貼れたら「裏切り者は許さない」という本音が聞けるだろう。

★国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪容疑でプーチン氏に逮捕状を出し、ロシアは報復としてICCの赤根智子判事らを指名手配した。渦中の赤根氏が本号に登壇し、プーチン氏のような「お尋ね者」が入国した場合、日本の国内法では立ち向かえないと指摘した。国際刑事司法の最前線に立つ日本人として、現実を翻訳なしで母国に伝えたいという切実な思いが滲む。

編集長:五十嵐 文