中央公論 2023年12月号
2023年12月号(11月10日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
【 特集 】
陰謀論が破壊する日常
人々の不遇感が信心を強化する
▼大澤真幸
日本人の半数以上が騙される!?
生成AIの普及でウィズフェイク2.0時代に
▼山口真一
〔対談〕
反ワクチン、ノーマスク、ディープ・ステート......
参政党の台頭に見る日本政界への浸透度
▼畠山理仁×藤倉善郎
YouTubeが主要な情報源
日本のシニアはなぜハマってしまうのか?
▼古谷経衡
〔対談〕
実話怪談、都市伝説、オカルト......
「ここではないどこか」を求めて
▼雨宮 純×吉田悠軌
コロナ禍で予想外の減少?
世論調査に見る日本人の陰謀論支持
▼ロバート・ファーヒ
UFOと気候変動と科学哲学
無知学は「トンデモ論」にどう対峙するか
▼鶴田想人
時評2023
少女たちよ、大志を抱け
▼岩間陽子
イスラエル・ハマスの紛争をめぐる空疎なイデオロギー対立
▼井上智洋
人にして人を毛嫌いするなかれ
▼河野有理
パレスチナ・イスラエル紛争の非対称性
▼ハディ ハーニ
保守派と民主派の間で揺れるタイのセーター新政権
▼外山文子
【 特集Ⅱ】
政治改革から30年
「日本改造」に向けて最終決戦
3度目の政権交代は「次期衆院選」で
▼小沢一郎
野党共闘の再構築に挑戦する
▼志位和夫
痛感した総理の重責、再び非自民で担う覚悟あり
▼野田佳彦
「選挙のプロ」が見てきた政治の現場
政党より人を選ぶ風土は不変
▼久米 晃
〔対談〕
政治への不信は制度改革では克服できない
▼宇野重規×坂井豊貴
第2回 川端康成青春文学賞 発表
【受賞作】
桂 文弱『ペイデイの前の日に』
【選評】
津村記久子/羽田圭介/大野裕之
ペイデイの前の日に
▼桂 文弱
〔鼎談〕
海の語源は感嘆の「う」なのか?
「言語の本質」の謎に迫る
▼今井むつみ×秋田喜美×千葉雅也
販売部数50万部超え、政治参画......
戦後フランス「知識人の雑誌」の成功要因
▼中村 督
温暖化が加速する今、歴史に学ぶ
江戸時代の気候変動から何がわかるのか
▼武井弘一
繰り返す危険ドラッグの流通と規制に終止符を
日本の大麻政策再考
▼松本俊彦
合理的にリスクを取って豊かな日常生活を
▼岩田健太郎
学問と政治~新しい開国進取【第13回】
国連大使に起用され学界から外交の現場へ
▼北岡伸一
追悼 加藤秀俊
SNSも駆使した真の教養人
▼佐伯順子
好評連載
炎上するまくら【第84回】
僕の顔が真っ赤になったワケ
▼立川吉笑
文品 藤沢周平への旅【第8回】
秘剣舞う──「隠し剣」シリーズ
▼後藤正治
連載小説
美土里俱楽部【第8回】
▼村田喜代子
邪行のビビウ【第9回】
▼東山彰良
グラビア
海神の楽園㊱
▼撮影・文:伊勢優史
Memories 私の書斎
▼阿川弘之
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第60回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼重田園江
著者に聞く
▼清水大吾
気まぐれ映画館
▼三浦哲哉
Book Clip
2023年12月号【編集長から】
★4年ぶりに訪れた北京は一年で最も過ごしやすく美しい「金秋十月」の季節を迎えていた。日中は雲一つない青空の下、薄手のシャツ一枚でちょうどいい。長安街を歩くと2両連結の路線バスが停留所に音もなく滑り込んできた。ぴかぴかで丸っこい車体の側面には「電動車」のマーク。2010年代、北京に駐在していた時に利用したバスは武骨でよく揺れ、轟音と黒煙をまき散らしながら走った。街と空気の浄化は着実に進んでいる。
★今回の滞在中に日本人がスパイ容疑で逮捕されたことが明らかになり、東京電力福島第一原子力発電所からの処理水放出以降、北京の日本大使館には1日1万5千件、10月下旬までに計100万件の迷惑電話がかかっていると知った。気が重くなる話の一方で、SNSでは中国でも長く活動した谷村新司の死を悼む投稿が続き、再会した友人は「昴」を中国語で口ずさんだ。別の友人はまだ蠢いている上海蟹を大量に取り寄せて自宅で蒸し上げ、ふるまってくれた。日本産水産物の禁輸で現地の寿司屋は大打撃だが、客の大半は富裕層である。中国14億人民の大多数は共産党の決定とは無縁の生活を送っている。日本にいると忘れがちな感覚を取り戻せたのは良かった。
★本号で小沢一郎ら野党三氏に政権戦略を質した。日本も政治と距離を置く大多数の有権者の動向が鍵だ。
編集長:五十嵐 文