中央公論 2024年2月号
2024年2月号(1月10日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
【 特集 】
令和生まれが見る2100年の日本
緊急提言「人口ビジョン2100」
縮小スパイラルを断ち切るために
▼三村明夫+人口戦略会議
「消滅可能性都市896」の衝撃
▼本誌編集部
〔対談〕
今が未来を選択できるラストチャンス
▼三村明夫×増田寛也
父として、政治家として
政局のさなかも育児は続く
▼小泉進次郎
メガロポリスか衛星都市か
岐路に立つ政令指定都市
▼北村 亘
「異次元の少子化対策」は必要な層に届いていない?
子ども・女性支援政策から考える"失われた10年"
▼治部れんげ
能登半島の最北部・珠洲市という選択
過疎地への本社移転がもたらした恩恵
▼岩城慶太郎
時評2024
キッシンジャーの現実主義外交から継承すべきもの
▼三牧聖子
ペソ廃止!? 自国通貨を持たない選択をどう考えるか
▼牧野邦昭
プロパガンダと怒りであふれるSNS空間に流されないために
▼辻田真佐憲
〔ルポ〕
〈福島県奥会津〉JR只見線復活から1年
座れないほど混雑する理由
▼葉上太郎
学問と政治~新しい開国進取【第15回】
安保理改革のG4案 小泉氏は動かず中国は猛反対
▼北岡伸一
自民党派閥の政治資金問題
金額も政治家の器も小さくなった
▼渡辺喜美
【 特集Ⅱ】
「活」氾濫のなぜ
〔対談〕
得られるのは達成感か、一体感か、それとも──
変幻自在の略語からニッポンが見える
▼石原壮一郎×辛酸なめ子
受け身な日本を変えるために
「婚活」ブームの火付け役が見た当時と今
▼白河桃子
"ためになる行動"をマーキングする新しい造語成分
▼飯間浩明
「推し活」が変える?「女性オタク」のメディアイメージ
▼田島悠来
80億"総ジョン・レノン時代"がやって来る
音楽史の転換点としてのビートルズ"最後の新曲"
▼みの
なぜアーバンベアが増えているのか
人間社会に左右されるクマの生態
▼佐藤喜和
創設者、小林一三が目指したものとは?
宝塚歌劇――アマチュアとプロフェッショナルの狭間で
▼松本俊樹
追悼 山田太一
「普通の人」を深く、温かく描いた名匠
▼鈴木嘉一
好評連載
炎上するまくら【第86回】
やるべきことがたくさん!
▼立川吉笑
文品 藤沢周平への旅【第10回】
青年医師の季節――「獄医立花登手控え」シリーズ
▼後藤正治
連載小説
邪行のビビウ【最終回】
▼東山彰良
美土里俱楽部【第9回】
▼村田喜代子
グラビア
海神の楽園㊳
▼撮影・文:伊勢優史
冬の只見線
▼撮影:星 賢孝
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第62回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼三浦英之
著者に聞く
▼山本冴里
このマンガもすごい!
▼三木那由他
Book Clip
2024年2月号【編集長から】
★10年前、『中央公論』の人口減に関する座談会に登壇し、「独身の僕が一番肩身が狭い」とやや控えめだった小泉進次郎氏が、今号のインタビューでは二児の父として育児と政治活動の二兎を追う日々の喜びと悩みを大いに語った。
★父の純一郎・元首相は在任中、結婚4度目(現在は5度目)だったドイツのシュレーダー首相から「なぜ結婚しないのか」と問われ、「また離婚するのが嫌だから」と答えた。ドイツでは熟年離婚・再婚には至らない別居や同居も多く、自由奔放な恋愛観では、結婚にこだわらないフランスと変わらないとも聞いた。近年、ドイツは子育て世代の働き方改革を、フランスは既婚、未婚を問わない手厚い子育て支援を行い、出生率は上がった。移民で人口減をカバーする発想は、多様性を重んじたスウェーデンやオランダでの移民排斥を掲げる極右政党の台頭を見ると悩ましい。人口こそ国力とばかりに多産を定着させたイスラエルとパレスチナの対立も暗い影を落とす。
★「産めよ殖やせよ」の反省から政府の腰が引けている日本が、ハンガリーのオルバン政権のように出生率を上げるために家族観、結婚観を経済支援で誘導する姿は想像したくない。大切なのは押しつけではなく、個人が自分事として人口減を考える姿勢ではないか。今号の特集がそのヒントになれば幸いである。
編集長:五十嵐 文