中央公論 2024年3月号
2024年3月号(2月9日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
内閣総理大臣インタビュー
「聞く力」から「発信する力」へ
政権3年目、正念場で「結果示す」覚悟
――安倍元首相の「外交遺産」引き継ぐ
▼岸田文雄
【 特集 】
大学と生成AI
ChatGPTとどう向き合うか
全国42大学学長アンケート
アンケートから見えてきたリスクと期待
▼小林哲夫
〔ルポ〕
学生のホンネ、教員の困惑
――「バレたらどうなる?」「授業では取り上げない」
▼花岡正樹
〔対談〕
理系も文系も必須のツール
生成系AIは対話力を鍛えるバディ
▼坂村 健×松尾 豊
いま、外国語を学ぶということ
▼黒田龍之助
〔対談〕
精読と身体 AIには教えられない知
▼小川さやか×古田徹也
時評2024
ハーバード学長辞任劇が炙り出すアメリカの大学の危機
▼三牧聖子
大学共通テストの社会的役割
▼牧野邦昭
奥能登から日本を考える
▼辻田真佐憲
盲点だった日本海側の防災対策
能登半島地震から何を学ぶべきか
▼鎌田浩毅
学問と政治~新しい開国進取【第16回】
日本の国連外交の「敗戦」を振り返る
▼北岡伸一
人口減少という有事
約4割の未婚女性が子どもを持たないと予想
正社員とパートの賃金格差解消こそ最重要課題
▼永瀬伸子
1990年代の不良債権問題との類似性
少子化・人口減の深刻さはなぜ共有されないか
▼白川方明
新書大賞2024
新書通107人が厳選した
年間ベスト20
大賞『言語の本質』
大賞受賞者に聞く
▼今井むつみ/秋田喜美
2位『訂正する力』東 浩紀
3位『客観性の落とし穴』村上靖彦
ベスト20レビュー
〔わたしと新書〕
社会にもっと必要な遊びとは
陸上と読書の人生の先へ
▼為末 大
読書芸人が魅力を語り尽くす
タイパとコスパで選ぶなら新書がいちばん!
▼ラランド・ニシダ
〔編集者鼎談〕
デジタル時代、活路はどこに
新旧レーベルの戦い方
▼川治豊成×一ノ瀬翔太×田中正敏
宇野重規、佐藤卓己、廣野由美子、横山広美......
目利き49人が選ぶ2023年私のオススメ新書
〔鼎談〕
目覚めよJAPAN 経済3団体トップ座談会
日本経済の現在地と2024年の課題
▼十倉雅和×小林 健×新浪剛史
〔対談〕
紫式部と平安時代
――その第三の人生を復元する
▼倉本一宏×澤田瞳子
追悼 篠山紀信
自己を隠蔽できる写真家
▼横尾忠則
好評連載
文品 藤沢周平への旅【第11回】
戦国上杉の政治戦──『密謀』
▼後藤正治
炎上するまくら【第87回】
時代にそぐわない!?
▼立川吉笑
連載小説
美土里俱楽部【第10回】
▼村田喜代子
グラビア
海神の楽園【最終回】
▼撮影・文:伊勢優史
Memories 私の書斎
▼堤 清二
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第63回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼松村一志
著者に聞く
▼北村 滋
このマンガもすごい!
▼トミヤマユキコ
Book Clip
2024年3月号【編集長から】
★インド映画『きっと、うまくいく』は、過酷な受験戦争と競争社会を象徴するエリート工科大学で、自分らしさを貫く自由人ランチョーを親友2人が回想する物語。教科書通りの答えに疑問を呈し、学長に目を付けられても、口癖の「All is well」で自分を奮い立たせ、機転を利かせてピンチを次々と切り抜けていく。
★ChatGPTなどの生成系AIが、日本の大学を揺るがしている。人間が書いたものと見分けがつかない自然な文章を作る一方で、息を吐くようにうそもつく。最新のテクノロジーを教育や研究にどう活用すべきか。今号に掲載した42大学アンケートの結果や専門家の論考で興味深いのは、出力結果を鵜呑みにしてレポートや論文を作成しないよう学生に求めるよりも、AIに何をどう聞くかという「設問力」を鍛えることが重要だという指摘である。AIは質問の仕方によって答えを変える。型破りの質問をぶつけてくるランチョーを目の敵にしていた学長がやがて心を動かされ、退学処分を撤回して首席での卒業を祝福したように、自分の頭で考える学生を育てる側の眼力が問われるのだろう。
★こちらの設問力が足りなかったのか。岸田文雄首相をインタビューしたが、政治とカネの問題で納得のいく回答は引き出せなかった。派閥解消という切り札できっと、うまくいくとは限らない。
編集長:五十嵐 文