中央公論 2024年6月号
2024年6月号(5月10日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
【 特集 】
最新版 消滅する市町村 744全リスト
『地方自治体「持続可能性」 分析レポート』
――地域特性に応じた人口減少対策が必要
▼三村明夫+人口戦略会議
データ解説
新たな「消滅」、半数が北海道・東北
▼本誌編集部
全国1729自治体の9分類データ
〔対談〕
人口減を止められなかった10年
――外国人・寄合・デジタルは救いとなるか
▼増田寛也×宇野重規
10年前のショックを糧に
消滅可能性都市から脱却した豊島区がいま目指すもの
▼高際みゆき
人口増加は結果、目的ではない
東日本大震災があっても健闘の女川町
▼須田善明
人口減少率最大の秋田県、「資源県」の強みを活かす
▼佐竹敬久
多国籍タウン・大久保と向き合って
図書館は移民のシェルターになれる
▼米田雅朗
〔座談会〕
結婚に恋愛は必要か
――少子化対策への手がかりを探る
▼牛窪 恵×山田昌弘×干場弓子
時評2024
故意の「付随的被害」? ガザが示すAI軍事利用の危険
▼三牧聖子
『複合不況』から32年、新たなバブルは発生するか
▼牧野邦昭
国立追悼施設の建設を再び考えるとき
▼辻田真佐憲
プリキュア「女の子だって暴れたい」から20年
21世紀型アニメヒロインが大人をもひきつけるわけ
▼鷲尾 天 聞き手:鈴木美潮
【 特集Ⅱ】
不適切で輝いていた昭和
〔対談〕
ハラスメントは減ったかもしれないが......
職場の環境はよくなったのか?
▼河合 薫×常見陽平
令和の若者にウケるわけ
昭和レトロはどこに向かう
▼高野光平
田中角栄、山口百恵はもう現れない
カリスマなき時代 政治も歌もチームで勝負
▼枝野幸男
〔対談〕
暴言もあれば共感もあった
令和の政治家は言葉の力を取り戻せるか
▼御厨 貴×東 照二
科学の通説はなぜ否定されるのか
生き残る地球平面説
▼松村一志
伝統宗教が地方で腐る
――自浄作用なき「聖域」で起きていること
▼広野真嗣
好評連載
学問と政治~新しい開国進取【第19回】
学問の自由のありがたさ 日中歴史共同研究で痛感
▼北岡伸一
皇室のお宝拝見【第3回】
藤原定家筆《更級日記》
▼本郷和人
文品 藤沢周平への旅【第14回】
権力への階段――『風の果て』
▼後藤正治
炎上するまくら【第90回】
「笑点」新メンバー決定!
▼立川吉笑
連載小説
地上の楽園 【第3回】
▼月村了衛
美土里俱楽部【第13回】
▼村田喜代子
グラビア
皇室のお宝拝見【第3回】
▼本郷和人
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第66回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼多湖 淳
著者に聞く
▼みの
このマンガもすごい!
▼三木那由他
Book Clip
2024年6月号【編集長から】
★福島県の復興に携わる友人の案内で4月初め、浜通りと呼ばれる太平洋沿いの県東部を訪れた。地元で水揚げされたメヒカリなどの「常磐もの」や、見頃を迎えた桜を堪能しつつ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の経験を伝える関連施設を見て回った。県内初の震災遺構として2021年に一般公開が始まった浪江町立請戸(うけど)小学校の校舎は壁が崩れ落ち、鉄骨がねじ曲がるなど津波の爪痕が至るところに刻まれ、2階のかつての教室からは約6キロ南の第一原発の排気塔が見える。地震、津波、原発事故という複合災害の過酷さと、奪われた日常の記録に息が詰まった。
★震災から3年後の14 年、増田寛也元総務相らがまとめた「増田レポート」で、消滅可能性のある都市に分類された896自治体のリストに福島県内の市町村は一つも入らなかった。原発事故に伴う全町避難で浪江町の居住者が一時ゼロになるなど、状況が深刻すぎて将来人口を推計することすらかなわなかった。10年ぶりに更新されたリストで消滅可能性自治体は福島県内を含めても744に減ったが、日本全体の人口減少の基調に歯止めがかかったとは言いがたい。今号で全国1729自治体のデータを詳報したのは、それが誰かの日常と国の行方に影響すると思うからだ。地域の特性に合う対策の参考となれば幸いである。
編集長:五十嵐 文