中央公論 2024年7月号
2024年7月号(6月10日発売)
特別定価990円(本体価格900円)
発売中
【 特集 】
女性総理という選択
〔対談〕
政治の「危機」で聞こえ始めた待望論
自民党の救世主か、終わりの始まりか
▼安藤優子×中北浩爾
最年少女性市長の次なる挑戦
自治体も企業も多様性なくして成長なし
▼越 直美
「土井たか子ブーム」はなぜ続かなかったのか
▼岩本美砂子
サッチャーとメイ
――イギリスの女性宰相に何を学ぶか
▼池本大輔
日本、中国は例外的
アジアに女性指導者が多い理由
▼岩崎育夫
シミュレーション「トランプ・小池会談」の衝撃
▼海野素央
〔鼎談〕
毎日・日経・読売の元政治部長が語る
気になるあの人の実力と個性
▼佐藤千矢子×吉野直也×伊藤俊行
時評2024
イスラエル抗議デモで露わになった米メディアのバイアス
▼三牧聖子
福沢諭吉と渋沢栄一、新旧一万円紙幣の顔となった理由
▼牧野邦昭
川勝前静岡県知事が果たすべき本当の責任
▼辻田真佐憲
人口減少という有事
少子化対策はスウェーデンの苦闘の歴史から学べ
――2度の人口危機を乗り越えた国の新たな挑戦
▼宮本太郎
企業誘致、人口増の好循環
「自立持続可能性自治体」印西市の挑戦
▼板倉正直
〔座談会〕
Z世代が「消滅可能性自治体」リストを本音で語る
当事者不在の議論に異議あり!
▼大空幸星×能條桃子×古井康介
【 特集Ⅱ】
あなたも危ない依存症
ギャンブルから飲酒、オンラインゲームまで
今や新たな国民病
▼原田隆之
司法の保守化が規制緩和をもたらした
アメリカ文化としての「スポーツ賭博」
▼前嶋和弘
アルコール依存症は高齢者の隣に
「否認の病」をどう見つけ、防ぐか
▼和気浩三
〔対談〕
誤解だらけ 戦国の城と合戦
――考古学と文献史学の両面で読み解く
▼中井 均×清水克行
ガザ紛争、長期化の要因と停戦のシナリオ
オスロ合意からの「2国家共存」路線を再考するとき
▼鈴木啓之
専門家パネル活動終了で今後どうなる
国連の力が試される北朝鮮制裁、次の一手
▼竹内舞子
生誕100年の安部公房
変貌と一貫の作家の現代性
▼鳥羽耕史
第25回 読売・吉野作造賞 発表
受賞作
『新興国は世界を変えるか』
▼恒川惠市
選評
北岡伸一/猪木武徳/山内昌之/白石隆/吉川洋/村岡彰敏/安部順一
好評連載
炎上するまくら【第91回】
落語のメディア論
▼立川吉笑
学問と政治~新しい開国進取【第20回】
第1次安倍政権以降の安全保障政策に関与
▼北岡伸一
皇室のお宝拝見【第4回】
狩野永徳《唐獅子図屛風》
▼本郷和人
文品 藤沢周平への旅【第15回】
史実に沿って――『市塵』
▼後藤正治
連載小説
地上の楽園 【第4回】
▼月村了衛
美土里俱楽部【最終回】
▼村田喜代子
グラビア
皇室のお宝拝見【第4回】
▼本郷和人
Memories 私の書斎
▼丹下健三
「書く」行為のその先へ 「石川九楊大全」展
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
音楽には物語がある【第67回】
▼小谷野 敦
書苑周遊
新刊この一冊
▼若松英輔
著者に聞く
▼本村凌二
このマンガもすごい!
▼トミヤマユキコ
Book Clip
2024年7月号【編集長から】
★映画『パーフェクト・デイズ』で役所広司演じるトイレ清掃員が、東京・渋谷に実在する「透明トイレ」の使い方を外国人女性に尋ねられる場面がある。ガラス張りの見た目には誰しも戸惑うが、中が清潔かどうか、怪しい人がいないかどうかが外から見え、使用時に内カギをかければ不透明になるという優れものだ。
★ガラスの壁の斬新なトイレは、映画のヒットもあって国内外の注目を集めた。「ガラスの壁」は、女性が枢要な部署に異動できず、昇進に必要な職歴を積めない状況を指すことがある。女性がリーダーになることを阻む「ガラスの天井」は、「ガラスの壁」の結果とみることもできる。それでも最近は、少なくともそこに壁や天井があるという事実を多くの組織が認め、意識するようになったのは前進だろう。自民党内で女性総理という選択が取り沙汰されているのは、いよいよ最も高くて硬い天井の取り壊しにかかろうとしているのか、あるいは失敗のリスクが高い危機に際してあえて女性を「ガラスの崖」に立たせるつもりか。思惑はどうであれ政治と国民を隔てる壁の可視化につながればいい。
★本号表紙にスーツ姿の女性像を置くことを考えたものの、固定観念で服や髪型を選ぶことになるのでやめた。今号で編集長を退くが、ステレオタイプの思考に陥りそうな時は雑誌を手に取ろう。
編集長:五十嵐 文