中央公論 2024年9月号

2024年9月号(8月9日発売)

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中央公論 2024年9月号

【特集】昭和の戦争、指導者の失敗

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【 特集 】
昭和の戦争、指導者の失敗

〔座談会〕
満洲事変、三国同盟、対米開戦......
破局は避けられなかったのか
▼波多野澄雄×牧野邦昭×佐々木雄一

 

東條英機と陸軍
既存制度に縛られた「軍事官僚」の限界
▼戸部良一

五つの局面で読み解く
大局的視座を持たなかった海軍
▼手嶋泰伸

日中戦争はなぜ泥沼化したか
意思不統一の果てに覚悟なく決まった長期戦
▼岩谷 將

東條、近衛は指導者ではない
山本五十六が演出した対米開戦
▼相澤 淳

玉音放送後も続いた戦い
日ソ戦争と認知バイアス
▼麻田雅文

中野正剛、石橋湛山、三木武吉......
評伝で知る言論人の翼賛と抵抗
▼小宮一夫

チャーチルに学ぶ
政治指導と軍事指導は車の両輪
▼細谷雄一


時評2024

39歳ヴァンスの副大統領候補指名と「米国第一」化の未来
▼三牧聖子

オリンピックに経済効果は期待できるか
▼牧野邦昭

石丸氏〝躍進〞の裏で警戒すべき敗者のプロパガンダ
▼辻田真佐憲


ポスター、選挙公報、政見放送......
都知事選「ハック」で問われる日本の選挙
▼日野愛郎

アベノミクスのブレーンが語る
いま私が円安・インフレを警戒する理由
▼浜田宏一


【 特集Ⅱ】
寝不足大国ニッポン

ノーベル賞候補の睡眠学者が教える
眠りの新常識と科学的快眠術
▼柳沢正史

経済損失は17兆円
寝不足からの脱却こそ、日本経済の勝機
▼山本 勲

極地での眠り、白熊の脅威
▼角幡唯介

遊泳睡眠、飛びながら、数秒だけ......
動物たちの奇妙な睡眠習慣
▼関口雄祐


人口減少という有事

東京出生率0.99の衝撃 基本から知る低出生の現実
▼小池司朗

官民双方で女性活躍に取り組んで
最後は企業の努力が欠かせない
▼村木厚子


流行のSNS「BeReal.」の秘密にせまる
リアルであれとメディアはいう
▼大澤 聡

日本の建築のこれから
――能登・専門家集団・コミュニティ
▼山本理顕

江藤淳 没後25年
「戦後」への怒りの背後にあった喪失
▼風元 正

目覚めよJAPAN
経済フォーラム「日本経済の潜在力を探る」
▼小林 健/増田寛也/山口信明/地下誠二/藤沢久美


好評連載

炎上するまくら【第93回】
真打昇進に待ち受ける試練
▼立川吉笑

学問と政治~新しい開国進取【第22回】
民主党政権の安全保障政策への関与
▼北岡伸一

皇室のお宝拝見【第6回】
海野勝珉《蘭陵王置物》
▼本郷和人

文品 藤沢周平への旅【第17回】
集大成的な作品――『蟬しぐれ』
▼後藤正治


連載小説

地上の楽園 【第6回】
▼月村了衛

金波銀波  【第2回】
▼澤田瞳子


グラビア

皇室のお宝拝見【第6回】
▼本郷和人

〝闘う建築家〟の作品と仕事場
▼山本理顕

眠れる美しい動物
▼関口雄祐


連載・コラム

ニュースの1枚

深層NEWSの核心

音楽には物語がある【第69回】
▼小谷野 敦


書苑周遊

新刊この一冊
▼荻上チキ

著者に聞く
▼橋爪太作

このマンガもすごい!
▼トミヤマユキコ

Book Clip

2024年9月号【編集長から】

★今年、故郷広島に新たな名所が生まれました。エディオンピースウイング広島。Jリーグ、サンフレッチェ広島の本拠地は「まちなかスタジアム」を謳い、繁華街の紙屋町からも徒歩圏内の至便な立地です。ピッチと観客席の距離が最短8メートルという臨場感も売りもの。6月にはワールドカップのアジア2次予選が開催されました。「ここでプレーできる選手が羨ましい」「もっとこういうスタジアムが日本にできたら」という南野拓実選手のコメントを知り、誇らしい気持ちになりました。

★賑わうサッカースタジアムを離れ、南に15分ほど歩くと原爆ドームです。広島の人間にとって原爆の被害は遠い歴史上の出来事ではなく、私の祖母の妹も、原爆で命を失っています。いつも明るい祖母もその話になると口が重くなり、何も聞けず仕舞いでした。

★被害を思うと、投下したアメリカのみならず、惨禍を招いた日本の指導者たちに怒りを覚えます。しかし今号の特集で活写されているように、「組織の慣性」や「会議の雰囲気」に流された彼らの姿は、どこか私たちと地続きの存在に感じられます。「悪玉」を設定できない歴史は複雑ですが、だからこそ学ぶところが多いかもしれません。「まちなか」で文明の光と影が共存している広島の街を歩きつつ、昭和の戦争について考える夏にしたいと思います。

編集長:田中正敏