中央公論 2025年2月号

2025年2月号(1月10日発売)

特別定価1100円(本体価格1000円)

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中央公論 2025年2月号

【特集】地政学で読み解く2025年の世界

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【 特集 】
地政学で読み解く2025年の世界

〔対談〕
揺らぐ国際秩序と海洋国家日本の役割
▼兼原信克×細谷雄一

イランへの戦線拡大、シリアのアサド政権崩壊......
イスラエル・ガザ戦争が変えた勢力バランス
▼錦田愛子

ウクライナ「停戦」シナリオを読む
▼小泉 悠

全面侵攻、海上封鎖・隔離、限定侵攻
台湾有事、三つのシミュレーション
▼小谷哲男

アメリカ外交はどこへ向かうのか
――弱い政権基盤と矛盾する政策志向
▼渡部恒雄

欧州「右傾化」の原因は移民・難民ではない
――台頭する新自由主義ナショナリズム
▼宮井健志

生成AI、GAFA、イーロン・マスク......
テクノロジーの進化がもたらす地殻変動
▼塩野 誠

トランプ再選の世界史的意味
――格差で引き裂かれたアメリカ民主主義
▼フランシス・フクヤマ 聞き手:会田弘継


時評2025

韓国の非常戒厳騒ぎから考える「自由の命運」
▼境家史郎

歴史の転換点を超えた日銀が抱く本音
▼渡辺 努

薬不足と感染症流行 パンデミックの教訓を忘れつつある日本
▼河合香織


103万円、106万円、そして130万円
「年収の壁」の真の問題は何か
▼中田大悟

斎藤・立花現象を生んだ「物語兵器」と閉塞感
ネット・ポピュリズムが一線を越えた2024年
▼藤田直哉

昭和を象徴する生涯政治記者
「書く人」としての渡邉恒雄さん
▼御厨 貴


【 特集Ⅱ】
散歩は冬こそ面白い!

ドストエフスキーの閃き、はしご酒の愉しみ
▼島田雅彦

ロゼット葉、カモの婚活、トンボの越冬
寒さを耐え抜く動植物ウォッチング
▼唐沢孝一

墳丘、石室から副葬品まで見どころ多数
政治学者、古墳を歩く
▼草野 厚

高低差、Y字路、地名......
まち歩きが楽しくなる七つの地理の見方
▼重永 瞬


阪神・淡路大震災から30年
震災の教訓を生かした持続可能なまちづくり
▼久元喜造

システム的思考とゲームの想像力
佐久間宣行はなぜ時代に愛されるのか
▼谷川嘉浩

【シリーズ昭和100年】虚構としての記号を超えて
歴史の想像力を取り戻せるか
▼鈴木洋仁

追悼 阿川尚之
「良きアメリカ」を体現した理知と信念と調和の人
▼待鳥聡史


好評連載

皇室のお宝拝見【第11回】
小野道風《屛風土代》
▼本郷和人

炎上するまくら【第98回】
無自覚なピエロ
▼立川吉笑


連載小説

地上の楽園 【第11回】
▼月村了衛

金波銀波  【第7回】
▼澤田瞳子


グラビア

皇室のお宝拝見【第11回】
▼本郷和人

道端で見つけた冬


連載・コラム

ニュースの1枚

深層NEWSの核心


書苑周遊

新刊この一冊
▼安倍雅史

著者に聞く
▼髙山裕二

このマンガもすごい!
▼三木那由他

Book Clip

2025年2月号【編集長から】

★「逆さ地図」をご存じでしょうか。安全保障問題に関心があれば一度は目にしたことがあるかもしれません。この正式名称「環日本海・東アジア諸国図」は、南北を逆さにして日本周辺を示した地図で、「中国、ロシア等の対岸諸国に対し日本の重心が富山県沖の日本海にあることを強調するため」富山県が作成したものといいます。その作成意図とは別に、中国やロシアにとって日本列島が太平洋に出る際の邪魔な「フタ」であることが一目瞭然なため、日本の安全保障環境を示す際によく紹介されるようになりました。「地政学」と聞くと、この地図のことが頭に浮かびます。

★国益、戦略、そして地政学。最近では当たり前に使われるこれらの言葉を口にすると、強い反発を招く時代がありました。そうした概念が悪用された歴史には意識的である必要があるものの、安全保障環境の悪化著しい今、避けて通ることはできない言葉であり、考え方でしょう。第1特集では地政学を鍵としながら、現在の世界情勢を考えました。

★島田雅彦さんが勧めているように、私も企画を練るとき、原稿修正の提案を考えるとき、行き詰まると散歩に出かけます。足を動かすとアイデアだけでなく、古い知人の顔や声が浮かぶこともあります。お世話になった方々の思い出とともに歩を進めるのも、散歩の喜びのひとつです。

編集長:田中正敏