中央公論 2025年8月号

2025年8月号(7月10日発売)
定価1100円(本体価格1000円)
7月10日発売
【 特集 】
トランプ危機の経済、歴史の教訓
大学への攻撃、関税合戦、衰退産業保護
激変する米国と転機に立つ世界経済
▼吉川 洋
〔対談〕
覇権は再び「東」に戻るのか
世界システム論で考える「米中対立」の500年史
▼岡本隆司×山下範久
超大国抜きの国際秩序は可能か
いま学ぶべき石橋湛山の小日本主義
▼牧野邦昭
元交渉官が明かすアメリカと関税
国際貿易からの「退席」か「退場」か
▼マイケル・ビーマン/聞き手 五十嵐 文
米国はときに世界を驚かせる国である
「相互関税」に見るニクソン・ショックの残像
▼吉崎達彦
中東情勢、シェール革命、世界の分断
エネルギー地政学で見るアメリカ
▼小山 堅
〔対談〕
物価研究とバブル研究の第一人者が語る
脱グローバル化が進み、デフレ時代には戻らない
▼櫻川昌哉×渡辺 努
それでも前に進むアジアとADBの使命
不確実な時代こそ日本再生のチャンスだ
▼神田眞人
時評2025
東京都議選から見える右派ポピュリストの胎動
▼境家史郎
「令和の米騒動」はなぜ起きたのか
▼渡辺 努
「出生数減少」報道と出産義務社会への懸念
▼河合香織
アーミテージ、ナイ......日米関係を支えた人々
「知日派」の終焉? あるいは再生?
▼村田晃嗣
内なる分断と外交安保の難局
強力政権になりうる李在明大統領の前途
▼西野純也
有権者と政治家の意見分布データから
「亀裂」と「制度」で見る日本政治の構図
▼砂原庸介
【特集Ⅱ】
自衛隊、本当の実力
安倍政権の安全保障戦略「司令塔」に聞く
今の自衛隊で日本を守れるのか
▼髙見澤將林
有事に備えた生産拡大への転換を
「防衛需要超過」時代に直面する防衛産業
▼小木洋人
2万人足りない......深刻化する人手不足
自衛官はいま何を考えているのか
▼松田小牧
「偕行社」を事例に読み解く
旧軍と自衛隊、断絶と接近の戦後史
▼角田 燎
日本のポップミュージックの現在地
音楽産業の地殻変動が生む2020年代のグローバルヒット
▼柴 那典
「任侠」シリーズ100万部突破
描くのは、理想、ファンタジー、そして郷愁
▼今野 敏
【シリーズ昭和100年】
「ミスタープロ野球」はいかにして生まれたか
長嶋茂雄と昭和の日本
▼鈴村裕輔
好評連載
ことばの変化をつかまえる【最終回】
言語はどのように生まれたか
――認知言語学者・秋田喜美さんに聞く
▼水野太貴
皇室のお宝拝見【第17回】
▼本郷和人
炎上するまくら【第104回】
▼立川吉笑
連載小説
ジウ The Next【第3回】
▼誉田哲也
グラビア
皇室のお宝拝見【第17回】
▼本郷和人
書棚は語る――薈田純一写真展
「Book Shelves Retrospective/書棚――佇まいの彼方」
▼ 薈田純一
さらばミスター
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
書苑周遊
新刊この一冊
▼竹内 洋
著者に聞く
▼原田 泰
このマンガもすごい!
▼三木那由他
Book Clip
2025年8月号【編集長から】
★「広島の平和記念公園にブッシュ大統領自ら花束を手向けてもらいたい」。本誌2005年9月号に掲載されたジャーナリスト、松尾文夫さんの言葉です。ドイツと米英両国の「ドレスデンの和解」をモデルに、アメリカ大統領が平和記念公園を訪れて献花し、日米は永遠の和解を果たすべきだ、というのが松尾さんの年来の主張でした。最初にこの提案を聞いたとき、広島出身者として心を打たれながらも「夢物語」と感じたのが正直なところ。しかし周知のとおり、松尾さんの願いは2016年、オバマ大統領によって実現しました。自分は冷静に現実を見ているつもりで、シニシズム(冷笑主義)に陥っていたのではないか─。吉崎達彦さんの寄稿で紹介された松尾さんのニクソン分析を読みながら、そう自省したことを思い出しました。イラン攻撃を原爆投下になぞらえたトランプ大統領にも思いが伝わるとよいのですが......。
★世界経済に嵐が吹き荒れています。アメリカ発の混乱には戸惑うばかりですが、長いスパンで眺めれば分かることもあるのでは。第1特集では歴史をヒントに経済を見つめます。「日本人は本来、もっと強いはず」。神田眞人ADB総裁の叱咤激励に触れ、厳しい現実を認識することと、シニシズムに陥らずに挑戦することは両立するはずだとあらためて感じました。
編集長:田中正敏
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