中央公論 2025年9月号

2025年9月号(8月8日発売)
定価1100円(本体価格1000円)
8月8日発売
【 特集 】
戦後80年、「終戦」の真実
戦争終結過程の「失敗の本質」
「降伏」の決断はなぜ遅れたのか
▼戸部良一
〔対談〕
皇太子時代にローマ教皇と面会した昭和天皇
バチカンの終戦工作と象徴天皇への道
▼松本佐保×河西秀哉
宮中グループの動向
「触媒」木戸幸一が果たした役割
▼茶谷誠一
ソ連仲介への期待、ポツダム宣言受諾の「聖断」
鈴木貫太郎の終戦指導の功罪
▼波多野澄雄
女性皇族からの視点
照宮成子内親王と1945年の夏
▼鈴木多聞
〔対談〕
ウクライナ侵攻でも続くロシアの「戦争の文化」
日ソ戦争という悲劇と現代への教訓
▼麻田雅文×山添博史
東南アジア、中国本土、満洲......武装解除の現実
帝国旧支配地域で続いた戦闘と抑留
▼加藤聖文
国際刑事司法の限界と意義
東京裁判は何を遺したのか
▼日暮吉延
時評2025
「ネオ55年体制」から新たなる混沌へ
▼境家史郎
消費税減税で本当に消費者は得をするのか
▼渡辺 努
「大災害」予言に思う科学情報の伝え方
▼河合香織
混迷極まる中東情勢の深層
イランとイスラエル、相剋の歴史
▼鈴木 均
国が一元的な制度設計を
自治体を疲弊させる「現金給付」に異議あり
▼熊谷俊人
自民党、農水省、農協──相互依存のゆくえ
農政トライアングルは生き延びるのか
▼佐々田博教
多党化の進展、組織政党の弱体化、ポピュリズムの台頭......
参院選で見えた日本政治の地殻変動
▼中北浩爾
【特集Ⅱ】
自分史を書く、先祖をたどる
どう書くか──ステップとコツは?
人生を肯定し、次代に引き継ぐために
▼齋藤 孝
生活史を記す価値と意味
どんな普通の人生も歴史に残す意義がある
▼朴 沙羅
家系図作成のプロが調査のコツを伝授
先祖探しが楽々できるすごい時代になった!
▼丸山 学
650億の文書調査、DNAデータ......
「先祖調査先進国」アメリカの実態
▼瀧口範子
児童・生徒の自殺者数が過去最多に
子どもの自殺対策には「ゲートキーパー」の育成を
▼森山花鈴
【シリーズ昭和100年】
「消費革命」から「郵便貯金目減り訴訟」まで
昭和のインフレに消費者はどう向き合ったか
▼満薗 勇
今なお帰れぬ故郷
復興から取り残された硫黄島民の戦後
▼石原 俊
好評連載
皇室のお宝拝見【第18回】
▼本郷和人
炎上するまくら【第105回】
▼立川吉笑
連載小説
ジウ The Next【第4回】
▼誉田哲也
グラビア
皇室のお宝拝見【第18回】
▼本郷和人
昭和天皇のヨーロッパ外遊とバチカンの終戦工作
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
書苑周遊
新刊この一冊
▼向山直佑
著者に聞く
▼田畑勇樹
このマンガもすごい!
▼トミヤマユキコ
Book Clip
2025年9月号【編集長から】
★「引き揚げの時は苦労したのよ」。日本統治下にあった朝鮮からの引き揚げを経験した父方の祖母が、しみじみと語るのを耳にした記憶があります。日ソ戦争をはじめ、「8月15日」以降も帝国の旧支配地域で続いた戦争を論じた今号の対談や論考を読むと、現代の想像を超える「苦労」だったことでしょう。「なんだか暗い昔話」が貴重な体験談だったと気づいた頃には、話を聞くことはかないません。
★それでも今の時代は、前の世代の足跡をたどりやすくなりました。特集「自分史を書く、先祖をたどる」のなかで紹介されている「国立国会図書館デジタルコレクション」。丸山学さんが書くように、その威力は「怖いほど」です。京城帝国大学で教えていた祖父の名前で検索すると、朝鮮総督府発行の機関誌『朝鮮』昭和19年6月号への寄稿がヒット。論壇誌のスタイルをとる『朝鮮』掲載の文章を読むうちに、孫ではなく編集者として祖父と向き合っているような感覚に─。あの戦争をどう見ていたのか、日本統治をどう考えていたのか。「対話」を始めるのは今からでも遅くない、そう思いました。
★中北浩爾さんが指摘されるように、参院選では年齢によって投票先が大きく分かれました。若い世代の力が示された意義は大きい一方、危うさも。異なる世代への想像力が必要な時と感じます。
編集長:田中正敏
今後の誌面作りのため、アンケートにご協力をお願いします。