中央公論 2025年10月号

2025年10月号(9月10日発売)
定価1100円(本体価格1000円)
9月10日発売
【 特集 】
世界動乱を読み解く宗教入門
バビロン捕囚から「12日間戦争」まで
歴史の「転轍器」としての世界宗教
▼山内昌之
〔対談〕
ユダヤとイスラム、「数千年の対立」の誤謬
ガザ紛争を解きほぐす
▼鶴見太郎×鈴木啓之
キリスト教「福音派」の変容
──21世紀の不穏なアメリカ
▼森本あんり
ナショナリズムとともにある歴史
ウクライナ戦争が正教会へ落とす影
▼高橋沙奈美
歴史から読む中東の宗教地図
イスラム世界の「対立」の根源は何か
▼小笠原弘幸
拡大を望まない理念がいかに広がったのか
仏教はAI時代の貴重な指針となる
▼佐々木 閑
印パ紛争と「宗教の政治化」
「ヒンドゥー国家」化するインド
▼中溝和弥
戦争、社会不安......乱世における宗教の役割とは
人生という競争ゲームから一度「降り」てみよう
▼ネルケ無方
時評2025
80年を経てなお終わらない日本の「戦後」
▼境家史郎
ランプ関税を負担するのはいったい誰なのか
▼渡辺 努
最低賃金引き上げから取り残されたフリーランスの処遇
▼河合香織
〔対談〕
高支持率を維持する「民主化以降で最強の権力者」
李在明政権の戦略と韓国社会の分断
▼木村 幹×徐台教 聞き手:伊東順子
公徳が失われる時代に
スタンフォードから見えたアメリカと日本
▼北岡伸一
【特集Ⅱ】
日本政治の新局面
「連合政治」時代の再来
──戦後政治史における1967年と2025年
▼河野有理
トランプ政権とどう向き合うか
関税をめぐる日米経済関係のゆくえ
▼鈴木一人
参政党躍進の背景を探る
陰謀論はどのように拡散したのか
▼烏谷昌幸
政治争点に急浮上
「外国人問題」の真偽を検証する
▼五十嵐 彰
織田信長も切り取った名香
蘭奢待をめぐる為政者たちの物語
▼金子 拓
新発見史料『御進講控』を読む
昭和天皇と軍事学定例進講
▼手嶋泰伸
より味わうための五つの見どころ
『国宝』からはじめる歌舞伎入門
▼矢内賢二
【シリーズ昭和100年】
郊外の「荒廃空き地」はなぜ乱造されたか
「限界ニュータウン」の現在と令和への教訓
▼吉川祐介
好評連載
皇室のお宝拝見【第19回】萬国絵図屛風
▼本郷和人
炎上するまくら【第106回】ハクションおっさん
▼立川吉笑
連載小説
ジウ The Next【第5回】
▼誉田哲也
グラビア
皇室のお宝拝見【第19回】
▼本郷和人
Memories 私の書斎
▼串田孫一
戦争の記憶を継承する試み
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
書苑周遊
新刊この一冊
▼永江 朗
著者に聞く
▼若松邦弘
このマンガもすごい!
▼三木那由他
Book Clip
2025年10月号【編集長から】
★身体を動かして汗をかいた後、温泉で疲れを癒やし、家族や友人とワイワイ話しながら冷たいビールを飲む。世の中いろいろあるけれど、そんな1日こそが「幸せ」だよな......などと考えていたところ、「現代日本は「欲求の充足こそが幸福の条件だ」と考える、ある種の単一宗教国家」との佐々木閑さんの言葉に全てを見透かされたようで、なんだか恥ずかしくなりました。今号の第1特集「世界動乱を読み解く宗教入門」では、キリスト教(福音派と正教)、ユダヤ教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教が基礎から解説されており、それぞれの「世界の見方」を知ることができます。戦争をはじめ、昨今の世界では驚くような出来事が続きますが、各宗教の考え方を学ぶことは日々のニュースの理解にもつながるはずです。
★一方、今の日本社会で最も影響力を拡大している「世界の見方」は陰謀論かもしれません。烏谷昌幸さんが論じるように、荒唐無稽なデマが「政治的に疎外された人々にとって、希望と元気を与える物語」になっている現実があります。誤った言説に事実で反駁するのとあわせて、陰謀論が人々をひきつけるメカニズムについても知る必要があるのでしょう。第2特集では他にも少数与党、トランプ関税、「外国人問題」といった新たな論点をとりあげ、一寸先は闇の日本政治に迫ります。
編集長:田中正敏
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