中央公論 2025年11月号

2025年11月号(10月10日発売)
定価1100円(本体価格1000円)
10月10日発売
【 特集 】
令和の読書と知的生産術
情報が氾濫する時代に
本を読み、論文を書く意義は何か
▼小熊英二
〔座談会〕
文化、政治、経済......いま読むべき本は
平成以降の「新しい古典」を決めよう
▼大澤 聡×砂原庸介×安田洋祐
鉄道会社退職後の挑戦
独立書店から届ける本と旅の愉しみ
▼小柳 淳
一生使えるアカデミック・ライティングの考え方
――とはいえ、大切なのは「なぜ書くか」
▼阿部幸大
「好き」でつながれば、もっと面白くなる
ネットでうまく思いを伝えるための発信術7ヵ条
▼三宅香帆
92歳にして実証史学にこだわる我が生涯
老兵は死なず、ただ調べるのみ
▼秦 郁彦
〔対談〕
時代小説の愉しみ、書くことの真髄
ノンフィクションから少し離れて
▼沢木耕太郎×後藤正治
時評2025
石破政権とは何だったのか
▼境家史郎
「自然」実質賃金の達成に向けて労使は認識の共有を
▼渡辺 努
欧州で法整備進む子の同意なき写真投稿 対策遅れる日本
▼河合香織
【シリーズ昭和100年】
50年前にもあった「総理総裁おろし」
三木武夫と石破茂は何が違ったのか
▼竹内 桂
人間関係を積み上げる政治活動の限界
自民党が直面する日本政治の地殻変動
▼飯尾 潤
〔対談〕
組織の弱体化、ガバナンス、新興政党の台頭......
結党から70年、自民党は再生できるか
▼齋藤 健×中北浩爾
【特集Ⅱ】
ナショナリズムと日本の現在地
〔対談〕
「極右ポピュリズム」への処方箋
排外主義に陥らず日本の自画像を描くには
▼苅部 直×先崎彰容
福祉国家を支える論理と倫理
「日本人ファースト」を法哲学で考える
▼安藤 馨
本当に高揚しているのか?
継続調査で見えたナショナリズムの4類型
▼田辺俊介
先行するヨーロッパから何が見えるか
――福祉排外主義と宗教的アイデンティティ
▼水島治郎
「過信の檻」に入ったトランプ大統領
デモクラシーの変質と僭主の時代
▼猪木武徳
ヴァンス副大統領が象徴するアメリカ思想の変動
リベラリズムは終わり「共通善」が台頭した
▼会田弘継
令和7年 谷崎潤一郎賞発表
【受賞作】
木村紅美『熊はどこにいるの』
【選評】
池澤夏樹/川上弘美/桐野夏生/堀江敏幸
文学的近況
旅と小説の関係
▼木村紅美
好評連載
皇室のお宝拝見【第20回】藤原定信筆《金沢本万葉集》
▼本郷和人
炎上するまくら【第107回】窓側席の危機
▼立川吉笑
連載小説
ジウ The Next【第6回】
▼誉田哲也
グラビア
皇室のお宝拝見【第20回】
▼本郷和人
旅に特化した本のセレクトショップ
「街々書林」から
連載・コラム
ニュースの1枚
深層NEWSの核心
書苑周遊
新刊この一冊
▼梶原麻衣子
著者に聞く
▼長﨑健吾
このマンガもすごい!
▼トミヤマユキコ
Book Clip
2025年11月号【編集長から】
★職業柄、伝統的な活字媒体を擁護したい気持ちは強いですが、新しいメディアの魅力は強烈です。世界中の映画やスポーツが揃えられた動画配信サービス、どんなニッチな趣味でも同好の士が見つかるSNS......。しかし、そんな時代だからこそ、本だけが持つ力がだんだん見えてきたようにも思います。第1特集「令和の読書と知的生産術」には、時代の変化を受け止めたうえで、本を読むことの意義を捉え直す論考が並んでいます。
★私の考える本の魅力としては、まず情報としての圧倒的な「コスパ」「タイパ」の良さがあります。同額の講演や動画に対して、本に詰め込まれた情報の量と精緻さは比べものにならないはず。また、活字であれば1分で伝わる情報を、動画だと5分見なければならないことに苛立つ「活字派」は少なくないはずです。さらに子育てをしていると、書棚に並んだ親の蔵書が目に入ることの効果も実感します。これは紙の本ならでは。世代を超えて情報を受け継ぐ手段として、古代より用いられてきた本の底力は侮れません。★それでは、雑誌の力とは? 私が惹かれる雑誌は、フィルターバブル状態に陥らず、何でもありの無規範にもならず、一定の幅を持ちながら魅力的な世界観で貫かれている「箱」です。『中央公論』が皆さんにとってそんな存在であるよう、編集に励みます。
編集長:田中正敏
今後の誌面作りのため、アンケートにご協力をお願いします。