2020年11月号【編集長から】

★九月の四連休に車で出かける予定でしたが、数十キロの渋滞が表示されたスマホの高速道路情報を見て断念。家で見たテレビには、人でごった返す観光地が映っていました。GWの賑わいも夏の帰省ラッシュもないまま迎えた秋の連休は、久しぶりに見慣れた風景が戻っていました。もちろんコロナ感染症の脅威は去っておらず、感染対策は継続していく必要があります。しかし、国民の意識が一時期の不安を抱えた生活から、普通の生活へ向けて変化していることは間違いないようです。

★この意識の変化には、一連の首相交代劇も一役買っていそうです。八月二十八日に安倍前首相が辞任を表明して以降、新聞やテレビの主役は、コロナから政局に変わりました。感染は予断を許さない状況とはいえ、多くの人にとっては身近に感染した人はおらず、報道の量が減ればそれだけコロナに対する意識は薄くなるでしょう。かつての生活を取り戻し、新しい日常を始めるために、それは必要なことだったのかもしれません。

★今月号の特集は「日米政変」です。菅首相の行く手には、内政・外交ともに難題が待ち構えています。中でも最優先の課題は、やはりコロナ感染症の克服です。混雑も渋滞も無い方がいい。しかし、余計なことを気にせずに人混み入っていける生活が、今は何より大切に思えます。

編集長:吉山一輝