2020年12月号【編集長から】

★一九八〇年代から九〇年代にかけて、さまざまな規制が緩和されました。バイク少年だった私にとっては、国内で販売するバイクの排気量の上限を決めていた日本メーカーの自主規制の撤廃や、免許制度の改正で大型バイクに乗りやすくなったことなどが印象に残っています。乗用車のドアミラーの解禁も八〇年代でした。こうした規制見直しの背景の一つに日米貿易摩擦がありました。「日本市場で米国製品が売れないのは、日本の非関税障壁が原因だ」という外圧によって国内のルールが変わるのは少々しゃくに障ります。だた、実際やってみればなんということはなく、その規制は必要だったのかと思うものも多々ありました。

★今月号に掲載したインタビューで河野太郎規制改革担当大臣は「行政側が『アリバイ作り』のために安全レベルを高くしてしまい、物事が進まなくなっていることもよくあると思うのです」と語っています。今なお前例踏襲やアリバイ作りのための規制や慣習は山ほどあるでしょう。改革に邁進する河野大臣がまず手をつけたのがデジタル化の入り口である「脱はんこ」。コロナ禍でデジタル化の遅れが表面化した今、改革の実行をためらう理由はありません。個人的には、はんこが捺された文書は、紙の白と文字の黒、朱肉の赤のコントラストがきれいで好きですが。

編集長:吉山一輝