2009年5月号【編集後記】

★一五、六年前のこと。今回、不正献金事件で逮捕された西松建設の元社長、国沢幹雄氏にかなり頻繁に取材したことがあります。当時、彼は財務担当常務。ゼネコン汚職騒動の中、内部関係者としてはかなりフランクに業界の実態を教えてくれました。もちろん違法行為については口をつぐんでいましたが、準大手、中堅のゼネコンが公共工事で生きていくための政・官・業の村のしがらみについて「しょうがないんだよねぇー」と恬淡と語っていたことが印象に残っています。

★考えてみれば、あのころ強烈に叩かれていた金丸金脈が直近まで生き残っていたことに。与野党の非難の応酬が続いていますが、国民の目は政治全体に対し冷たくなっているよう。これだけのスキャンダルが起きても与野党どちらかに国民の支持が極端にシフトしようとしません。★権力のインナーサークルが利益機会を独占するこの体制をクローニーキャピタリズムと呼びます。開発独裁、官僚権威主義などとともに開発途上国のシステム。経済的には日本は七〇年代初めまで開発途上国でしたが、政治はまだその体制が続いていることに。この期に及んでも永田町では政権交代とか政界再編とかを主張していますが国民はまともに受け取ってはいません。この十数年「政治改革」が謳われてきましたが、その結果がいまの各党への支持率。このことが意味するものは何か。国民の政治不信は、途上国型体制の変換まで解消しないのではと、思えてなりません。(間宮)