2009年7月号【編集後記】

★ちょうど一五〇年前の一八五九年七月一日、旧暦の安政六年六月二日、日本は二世紀以上続いた鎖国を終え、横浜港を開港しました。現在にまで続く近代化の第一歩、と地元ではにぎやかにイベントを行っていますが、一五〇年前の日本はこんな祝祭ムードとは正反対でした。

世は攘夷の叫びで沸騰中。横浜周辺でも生麦事件、井土ヶ谷事件と外国人殺害の現場が残っていますが、これ以外にも、米国領事館通訳殺害事件、英国公使館襲撃事件、果ては、薩英戦争、長州藩の下関外国船砲撃に四ヵ国による報復とテロと戦争の連続。中でも長州藩は体制不安を起こすために確信犯的に暴走。いまの世ならば間違いなく「テロ国家」指定です。★東アジアでは一五〇年後の今もテロ国家が健在。ミサイル発射、核実験、挑発発言と近年になく北朝鮮のテンションが高いのは、体制不安を対外強硬路線で乗り切るためのよう。幕末の日本は一つ間違えば国を失うかもしれない帝国主義世界の中で、攘夷熱を体制転換に結びつけることで未来をひらきました。今は国際協調の中、少々乱暴をはたらいても大目に見てもらえるのは確か。しかし維れ新たにする目的のない強硬路線に未来はあるのでしょうか。彼の国の猛が神州の元気なのか、亡国の沙汰なのか、じきに分かることでしょう。★ちなみに今号から表紙を変えました。攘夷とは何の関係もありません。どう変わっていくか、お楽しみにしてください。(間宮)