2009年10月号【編集後記】

★バブル崩壊後の経済危機の中、決定的な政策を延々と行えないでいた自民党政権を、経済学者のポール・クルーグマンは「自由民主党は、自由主義でもなければ民主的でもない。まして政党ですらない」と皮肉りました。ヴォルテールの「神聖ローマ帝国は、神聖でもなければローマ的でもない。まして帝国ですらない」のひねりですが、統一的な主義主張があるわけでもなく、政策も全体を見た上での合理性や必要性ではなくて個々の利害の集積からしか決めれない組織を政党と呼ぶべきか確かに疑問でした。

★日本政治の再編成は、ちょうどバブル崩壊の影響が顕在化した九二年ごろから始まり、翌九三年には細川政権の成立で、一旦、五五年体制の終焉にまで漕ぎ着けます。ところが、それから自民党は夏の甲子園ばりの驚異的な粘りを見せて今回の選挙まで政権与党として生き残ってしまいます。そのお陰で日本は、経済が限りなく破滅に近い状態に陥り、グローバル化にもポスト冷戦にも乗り遅れ、明らかな没落の中に。★事ここに至って、ようやく日本人は自民党を見限りました。しかし、これで問題が片づいたわけではありません。代わりに選んだ組織が政党である保証が、まだどこにもないからです。もし自民党のカーボンコピーであったら、日本の没落は、もう歴史的なレベルでリカバーが難しくなります。自分が選んだものが何か、有権者は注意深く観察を続ける必要があります。(間宮)