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2010年4月号【編集後記】

★先日、会社から帰宅の途中、外堀通りから東京駅の方角を眺めたとき、そのスカイラインのあまりの変貌に改めて呆然となりました。大阪生まれの私が初めて東京に降り立ったのが三十数年前の東京駅。

その時、丸の内口の風景にあったのは、丸ビル、銀行協会、日本工業倶楽部、国鉄本社など、戦災を生き残った低く古めかしい、しかし風格をもった建物群。東京駅舎や皇居の森と併せ、首都の品格を感じさせました。★その後、バブル期でも微動だにしなかったこの風景が、この一〇年であっという間にキラキラ輝く高層ビル群に。一方、私が勤める八重洲側は昔ながらの雑居ビルの群れのまま。日本中に拡がった格差を象徴しているようで情けないですが、思わず自分が差をつけられた側にいて飛躍していった連中が踏みつぶした古き良きものを懐かしんでいる構図に気が付きました。人生の終わりが近づきヤキが回ったのでしょう。★過去の風格ある街並みも、それ以前の風景を踏みつぶして成立したものです。近代日本はそうやってのし上がりました。天に伸び続けるスカイラインはまさにヴァンダルの王冠。
国境無き資本主義の時代では、過去や既存に一切拘泥しない精神のみが未来を切り開き、振り向き立ち止まるものは敗者となります。ちなみに私が物思いにふけった場所は約一五〇年前、坂本龍馬が剣術修行を行った桶町千葉道場があったあたり。もちろん、今は影も形もありません。(間宮)