2010年6月号【編集後記】

★だいぶ前になりますが、沖縄で地元の方に、一九七〇年のコザ暴動の話を聞いたことがあります。当時、米兵の犯罪が頻発。しかし、米軍による軍法裁判で軽微な罪にしか問われず、住民の不満がたまっていました。そこへ基地の町コザで米兵による交通事故。「MPが犯人を隠そうとしたのが引き金。一気に火がついた。返還も間近だし、もうやってやれということで米軍ナンバーの車だけねらい打ちでつぶして回った」。

★「沖縄問題」としてくくると、その原因は解きようのないくらい複雑に絡み合った根を持っています。が、沖縄県民の感情という側面からは、一点に集約できると思います。要するに頭越し。本来なら自分たちの主権や権利に関わることを無視されることへの反発です。人間誰でも主権を踏みにじられれば感情の制御ができなくなります。沖縄は長い間この「無視」を強いられました。暴動の話をしてくれた人も、二〇〇四年の沖縄国際大ヘリコプター墜落事件について、落ちたことより、民間地なのに米軍が地元関係者を現場に近寄らせなかったことに激怒していました。★普天間問題への反発も知事らのコメントを見ると、とどのつまり鳩山政権による「頭越し」が原因。「沖縄県民の気持ちを重視」といいながら、やっていることは地元無視。沖縄に久方ぶりに熱い季節がやってきました。もう、簡単に収拾はつかないでしょう。歴史を画するような愚行となりそうです。(間宮)