2011年2月号【編集後記】
★「産業革命の結果生じた新たな諸条件はこの利点をしばらくの間いっそう助長した。このような状況が自由貿易政策の採用に導き、関税や航海法の廃止に至らしめたのである。......重商主義政策の終焉は、自由と平等の不可避的論理によって、自ら選択する自由を自治植民地に与えることになった」(G・M・トレヴェリアン)。
★製造業による経済発展→自由主義経済の選択→特権層から産業資本家と従業員層への権力移転→民主化の進展。十九世紀イギリスのこのメカニズムは、世界史の法則と思われてました。しかし専制が変わらぬ中国のように、必ず、というものではなさそう。権力が単なる利権製造マシーンとなって新たな特権層を形成するからです。成長が止まった途端、問題は顕在化。★今号で田中直毅氏が解説した今の日本の状況。このところ政権を代えても代えても国民は納得しません。巨大な保護規制分野が残る限り政治は日本の未来を食い潰す寄生虫と知っています。★かつて内閣総理大臣とかいう肩書きの田舎者が、我が故郷、大阪に「日本の痰壺」という美称を贈ってくれました。確かに今の停滞ぶりは何を言われてもしょうがないのですが、しかし四世紀にわたって日本の牽引車であったこの自由競争の町を、さらに言えば、この半世紀、無敵だった日本の競争力を、この体たらくにしたのは誰か。先の美称、すべての永田町関係者に熨斗をつけてお返ししたいと思います。(間宮)