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2011年3月号【編集後記】

★十九世紀に入って、突然思い出したかのようにヘディン、スタインなど数多くの探検家が雪崩をうって東西両トルキスタン、アフガニスタン、さらにはチベットへと入り込んでいきました。時、まさに「グレートゲーム」の時代。ユーラシア大陸の南岸北辺をそれぞれ支配していた大英帝国とロシア帝国が、その広大な中間地帯を巡って行った争奪戦。学術探検だけではなく、情報活動、調略、戦略、政略の限りを尽くした外交戦が繰り広げられました。

★他人事ではありません。初期こそ焦点はアフガニスタンでしたが最終局面は極東。当時、列強の最大の「中核的利益」であった中国大陸を巡り英露が対峙。大英帝国が近代化日本を取り込み、半世紀を掛けて育て上げ、ロシアとの代理戦争に勝利させたことで、一旦、チェックメイトとなります。グレートパワーによる壮大な世界再編ゲーム。我が国はその駒の一つとなって生き残りました。★二十一世紀に入り、欧米が経済的に退潮する一方で、十九世紀に彼らの餌食となった中印が新興大国として急台頭するに及んで世界は再々編期に入ったよう。かつてと同じように大国も新興国も好奇心と野心をむき出しにして新世界に飛び込もうとしています。さて我が国、お上は相変わらずコップの中の嵐、国は泰平の睡りの中。前回の夜明け前も最初はそうだったといいますが、今回は屍山血河を乗り越えて天を回す気力が残っているか不安になります。(間宮)