2011年4月号【編集後記】

★とある韓国のジャーナリストとの会話。「日本の政治、ほんとに情けないことになってきたねー。国民は怒ってないの?」「そりゃ怒ってるよ。この数年ころころ首相が代わるけど何一つ問題を解決できない」「だったらデモをすればいいじゃん」「えっ?」「韓国だったらすぐ街頭抗議行動だよ。外から見ると日本人は全く怒っていない」「......」

★政治的意思表明は法によって定められた投票行動で、と、お上品ぶっているのは今や日本ぐらい。米国では茶会運動がオバマ政権をガタガタにし、欧州では超緊縮財政に国民の怒りが爆発。中国ですら政府を批判できない鬱憤を反日にぶつけてきます。さらにアラブ世界では怒れる若者の命懸けの抗議行動が長期独裁政権をドミノ倒しに。世界はいきなり政治の季節を迎えました。★そもそも日本は幕末以降、政治闘争は直接行動で、という国柄。戦後も国会を一三万人が囲んだ六〇年安保をはじめ、さまざまな紛争がありました。しかしそれもこの四〇年ほどはさっぱり。アラブの騒乱は人口急増に伴う失業中もしくは失業予備軍の若者の増加が背景にあるとのこと。社会の老化は反政府運動にも表れるのでしょうか。★「今の幕府も諸侯も最早酔人なれば扶持の術なし。草莽崛起の人を望む外頼なし」。吉田松陰の過激はあの時代の社会的な閉塞から生まれました。今「やがて燎原の火の如く......」と思っているのは私だけではないはずですが。(間宮)