2012年3月号【編集後記】

★核をめぐるイランとイスラエルの対立の先鋭化は、金融危機と並んで国際社会の大きな脅威となっているが、実は、この両国に共通するのがサイバー攻撃を"経験"していることである。

イランでは二〇一〇年、コンピューターウイルス「スタックスネット」がUSBメモリを介して原子力施設内に侵入、ウラン濃縮装置を誤作動させ、深刻な影響を与えた。イスラエルは〇七年にシリアの核疑惑施設を爆撃した際、直前にサイバー攻撃で防空レーダーを無力化させたといわれている。★敵の特定が難しく、武力行使を伴わないサイバー戦争の場合、日米同盟はどう機能するのか。憲法九条はそのような事態を想定していたのか。安全保障という概念自体が揺さぶられている。(木佐貫)

★『ハーバード白熱教室』を見たときは衝撃だった。勉強不足を恥じることなく告白すると、哲学なるものが国をまとめるための実学であると初めて理解したからだ。★今月は「"迷惑施設"のゆくえ」。煽情的なタイトルで恐縮だが、狙いはただ一つ。自治を担いうる主体の権利と責任について真正面から問うてみたかった。★被災地が困り果てる放射能汚染瓦礫の受け入れすらただ拒絶するだけの人々がいて、一方には民意にすぐにひれ伏す政権基盤の弱い与党がいる。共同体を成立させるためには自前で引き受けなければならないものがある。民主主義の可能性と限界について考えた。(中西)