2012年5月号【編集後記】

★今の日本政治を語る上で、避けて通れないのが橋下徹という存在。「ハシズム」と批判されたり、「改革者」と持ち上げられたり。戦争、罰、服従などのメタファーを駆使し、「直面型、攻撃型のスタイルで勇猛果敢に不正をただすイメージを作り上げ」るのが彼の特徴だと、東照二氏は指摘する。

★人間心理に通じた有名な独裁者が国民に向かって、「諸君に幸せを約束する」ではなく、「闘いと危険と死を約束する」と言い、その結果「全国民が彼の足下に身を投げ出すのである」と七〇年前に書いたのは、かのG・オーウェル。★橋下氏の姿に何を見、何を感じるか、そこには我々自身の願望や不満、苛立ちが映し出される。その意味では、やはり気になる人物である。(木佐貫)

★「四月ばか」という。日本でこの日を意識する人がどれくらいいるかは知らないけれど、私のように待ち構え過ぎると「騙されて大笑い!」の機会はあらかじめ失われてしまう。★先日、久々の知人に「ヤギは元気?」と問われた。まるで思い当たらない。聞けば十年前の春、私が「無駄紙処理のためヤギを飼っている」と言ったとか。あぁ、"その日"だったんだ。★高校の友人たちには、始業式前日に流した「新クラス情報」を今もって責められ、クラス替えが人生の一大事だった頃を思い出す。★洒落た嘘をつくのは難しく、また、素敵な嘘に酔うには純な心持が足りないようで。(打田)