2012年10月号【編集後記】

★李明博の竹島上陸に、香港の活動家たちの尖閣上陸。日本を舐めきったかのような動きに憤るも、五輪ではあるまいしナショナリズムを煽り合っても仕方がない。「短兵急な強硬論では意味がない」(鈴木美勝氏)のである。

★休日にたまたま足を運んだのが、「日中国交正常化四〇周年記念」と冠のついた恐竜博。羽毛恐竜ユティランヌスやズケンティランヌスなど初見の全身化石・骨格もよかったが、超大陸パンゲアの分裂以降、恐竜が各地で多様化していく様がわかる展示に満足。★こうした文化交流が隣国への悪感情を和らげる側面は多少はあるだろう。しかしそれは、相手が歴史的事実を無視し、暴君(tyrannus)のごとき、浅慮な振る舞いをしない限りにおいてだ。(木佐貫)

★インタビューや対談というものは、事前にどれほど準備しても当日は全然違った話題になることも少なくない。というより、予定どおりだったためしがない。私が頭のなかでひねり出した展開そのままだったら記事として面白くないことはわかっているが。今月で言えばまず石原知事インタビューがそうだった。のっけから「俺は教育に関心ねえんだよ」。本気か冗談か不明だが、都の教育改革について聞くつもりだったのに調子が狂ってしまった。連載対談を二十年続ける阿川佐和子さんでもインタビューは苦手というのだから、経験を積めばいいわけでもなさそう。さてどうするか。(小野)