2013年7月号【編集後記】

★座談会の直前、出席者の某氏と野球談義。「調子がいいならいいで、いつ急落するかと心配なのが、我々とアベノミクスの共通点ですねぇ」。

毎年シーズンオフのたびに勃発する「お家騒動」、期待はずれの助っ人たち、そして大一番での勝負弱さ。そんなこんなで"失われた二一年"さえも経験したタテジマ党の辞書に「順風満帆」の文字はなく、「いつまで持つのか?」と、不安ばかりがいや増す。哀しい習性である。★橋下徹氏の慰安婦発言は、中韓のみならず米国までも刺激し、「安全運転」に徹していた安倍政権にもいっそう厳しい目が向けられることに。憲法、靖国――総理の真意はどこにあるか。歴史認識問題を扱った日中韓教科書比較とあわせてお読み下さい。(木佐貫)

★大幅に議席が動く昨今の選挙結果をみていると、九六条改正によって簡単に憲法が変わりかねないと懸念。総選挙のたびに各党が憲法改正を公約にしたりして。不見識な政党が議席を占めることもあるだろう。なんて有権者の不安を田原総一朗さんが代弁。安倍首相インタビュー、ぜひご一読を。★葉上太郎氏の新刊『瓦礫にあらず』は被災者の心のひだを誠実に丁寧に描き出した一冊。ノンフィクションの難しい時代にあっても筆致極めて抑え目の人である。「もう少し筆が滑らないと市場で受けませんよ」などとからかえば激怒。もう一時間は止まらない。そうこなくっちゃ。ほくそ笑む。(中西)