2013年9月号【編集後記】

★先月号の橋本治さんの「マンション管理組合理事長騒動記」には、多くの方から「身につまされる話だった」との感想をいただいた。七月に連日報道された山口県周南市の事件も、その発端は「近所付き合い」だったようだ。

無縁や孤立が問題視されているが、人が集まるところには、トラブルの芽も生まれる。互助精神に満ち溢れ、人間関係は濃密、しかしながらプライバシーも尊重される、そんなコミュニティは稀だろう。★「隣は何をする人ぞ」では、関係が良くなるはずもない。ということで、隣国・中国の実像を知るための特集を組みました。★SFからタブーまで、二時間にわたり文学談義が展開された筒井、綿矢両氏の"五十歳差"対談もぜひお読みください。(木佐貫)

★「日本でいわれているほど中国経済は弱くないと、中国で仕事をする駐在員は口をそろえる」。広州の吉田健一記者に指摘され驚く。日本の読者が「こうあってほしい」という願望に応じ、私達は同じような切り口で情報を拡大再生産しているだけなのか。★今月は特集「中国の『実力』」。中国大陸で奮闘する人々の声などを集め、実像に迫ろうと努めたつもり。中でも「レーダー照射は中国軍の"成長痛"」と泰然と構える元陸自幹部山口昇氏の分析は興味深い。三月にお聞きした時から必ず字にしたいと思っていた。日々の報道とはまるで異なる中国軍の素顔が垣間見える。(中西)