2013年10月号【編集後記】

★夏になると、会社地下の冷房の効いた資料室に足を運ぶ回数が増える。涼を取るのはもちろん、もう一つのお目当ては本誌のバックナンバー。創刊からのすべての号が揃っている。

★八月は特に、昭和初期から十九年に廃業させられるまでの時期を選び、立ち読みをする。今月の北岡論文にあるように、当局に批判的な論考がしだいに消えていくさまがよくわかる。一方で、座談会に出てきた軍人の横柄な言いぶりをそのまま活字にするなど、これは編集者のささやかな抵抗ではないか、と思われる部分も見つかる。思想統制の時代に雑誌を守り続けた先人たちに思いを馳せていると、いつのまにか身体が芯まで冷え切っている。扉を開け、平成の現実の編集部に戻っていく。(木佐貫)

★午後三時の編集部。次号の企画検討に口角泡を飛ばしていたはずが、ひょんなことからご当地キャラクター「ふなっしー」に話が移る。この梨の妖精、船橋市非公認ながら、知名度は抜群。公認キャラには真似できそうにない破天荒な言動が人気の秘密か。★本誌にもそんな気骨あるマスコットがほしいね。チュウと言えば鼠じゃありきたりだし。昔、九州のほうに「中央公論」という喫茶店があったらしいよ......。そんな軽口を皆が切り上げようとしたとき、「いっそ僕が着ぐるみを着て」と意味深に呟く声。我が部の「よっしー」が、ひとりPR活動を始める日も近い。もちろん非公認で。(打田)