2013年12月号【編集後記】
★「昭和三十四年九月二十六日、この日潮岬西方より紀伊半島に上陸した......いわゆる伊勢湾台風がこれである」。山口百恵主演のテレビドラマ「赤い運命」の冒頭ナレーション。
画面に映る暴風雨と凄まじい被害もさることながら、これがきっかけで子どもが取り違えられる、という設定に何とも言えぬ恐怖を感じたものだ。『そして父になる』『もうひとりの息子』は、この「取り違え」をテーマにした日仏の映画だが、それぞれ六歳、十八歳の子どもたちの「その後」が気になって仕方がない。★地方出身の東京在住者にとっての"生みの親"も"育ての親"も、やがてはどちらも消滅するであろうという巻頭特集のシミュレーション。人口減少の本当の恐ろしさを知りました。(木佐貫)
★午前八時、某ホテルのレストランでM先生と朝食を兼ねた打ち合わせ。駅からタクシーで駆けつけるも、五分遅刻。正午、会社にI先生来る。捜し物が見つからず、五分待たせる。仕事も酣の午後八時、中一の娘から電話がかかる。「おなかすいたよ」。しまった。今日は夕食当番だった。なぜ手帳に書いていないんだ。脱兎のごとく走り出すも、二時間遅刻。東京の職住不近接はたしかに子育てに向かない。出生率低下もむべなるかな。それはさておき、小学校以来ずっとこんな人生。世を儚んでいてもいいくらいだ。むろん迷惑を蒙っているのはいつも自分以外の誰かなのだが。(吉田)