2014年12月号【編集長から】

 こんにちは。中央公論編集長の安部順一です。

 「あなたの雇用、明日はあるか」との特集を組んだのは、2012年12月号でした。それから、わずか2年。一転して、「人手不足」の時代に入ったそうです。

もっとも、底流には労働力人口の減少があって、このままだと経済成長を阻害しかねないと言われると、喜んでばかりはいられません。特集「雇用激変」は、そんな雇用の実相に迫り、雇用改革のあり方を考えます。

塩崎恭久・厚生労働大臣、古賀伸明・連合会長のインタビューに加え、「労働者不足が経済を制約し始めている」「40〜50代社員を待つ厳しい現実」などの論評、ルポ「相次ぐ『正社員化』の実態」、人事担当者覆面座談会「人事部は"働かないオジサン"をこう見ている」まで、内容も盛りだくさんです。

 もう一つの特集「国家融解ーー連鎖する独立運動の深層」では、EU域内でスコットランド(イギリス)から、カタルーニャ(スペイン)、フランデレン(ベルギー)などへと広がる独立運動について、何が起きているのか、猪木武徳さん、遠藤乾さん、細谷雄一さんらが分析します。

 さて、食欲の秋です。シリーズ「人生後半戦」のテーマは、「あなたは"粗食"で幸せですか」。週に1回はステーキという、92歳のドナルド・キーンさん、肉中心の食生活という、みのもんたさんらの話を読むと、ふだんは魚料理派のあなたも、何となく肉料理を食べたい気分になるかも知れません。

 最後にちょっとしたクイズを。新連載「東京七福神巡り」。第1回は江戸東京で最も古い七福神が登場しますが、どこでしょう? 楠木建さんの「スキルを伸ばしても『経営者』にはなれない」。経営者に求められる資質とはスキルでなくて何でしょう? 答えは本誌で。一部のネット書店でも購入できます。